第42話-アルバイト

 俺は今、知幸の家族が働く飲食店でアルバイトをしている

 今日はアルバイト初日。土曜日だ。


「いらっしゃいませー」


 俺と同じ年頃の女性二人がお店にやって来た。


「何名様でしょうか?」


 知幸の妹さんの葉奈ちゃんに教えてもらった手順通りにお客さんを案内する。


「二人でーす!」


 ギャル系の方のようだ。


「二名様ですね。こちらにどうぞ」


 席はお一人様用のカウンター、お二人様からお一人様用のテーブルコーナー、四人様からお二人様用の座敷などに分かれる。

 今のお客さんはお二人様なので、テーブルコーナーに案内する。


 案内が終わると、メニューを渡す。


「ご注文がお決まりになりましたら、声をおかけください」


 そう俺は言い残すと、レジ前に移動する。

 レジ前には葉奈ちゃんがいる。


「亮一さん! 完璧でしたよ!」


 お褒めの言葉を頂く。


「ありがとう葉奈ちゃん。でももっと頑張ります!」


 お話をしていると、キッチンから葉奈ちゃんのお母様の声がする。


「悪いんだけど亮一君。皿洗い頼める?」


「はい! ただいま向かいます!」


 と、こんな感じで約四時間のアルバイトをした。


「亮一さん。今日はありがとうございました」


 葉奈ちゃんがお礼を言う。

 それに続き、葉奈ちゃんのお父様、お母様からもお礼の言葉を頂く。


「助かったよ。また、宜しく頼むよ。亮一君」


「いえいえ。では自分はこれで失礼します。お疲れさまでした」


 初めてのアルバイトは、少し緊張したけれど、このまま頑張っていきたい。そう思った亮一であった。


 その後の知幸のお家では…


「いやーやっぱり亮一君はなんでも出来て助かるね。知幸とは大違いだよ。亮一君、女子ウケよかったしな」


「そうだねお父さん。あのギャル系のお客さん帰り際に亮一さんの名前聞いてきたし」


 そう言うと知幸は、


「俺があの亮一に勝てる訳ないだろ……?」


 と、皮肉混じりに言った。

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