第41話-女子トーク

 クッキーが食べ終わり、片付けが終わった頃には、辺りは既に暗くなってきていた。


「私はそろそろ帰りますわ。亮一君。今日はクッキーの作り方を教えてくれてありがとうございました」


「いえいえ。また作ろう。俺送ってくよ」


 委員長は自分のエプロンなどの荷物をまとめ、帰る準備をする。

 俺も同時に委員長を家まで送る準備をする。


 と、そこで


「あ、そうだ! くすのせさん。ちょっと来て! ねえちゃんとまどかも!」


 そう葵ちゃんが言うと、葵ちゃんは委員長の袖を引っ張り、妹逹の部屋へ女子一同を連れて行った。(お母さんは置いてけぼり)


「え…? みんなどうしたんだろ? お母さん何か知ってる?」


「うーん……多分女子トークかしらねー。お母さんを混ぜてくれないのは寂しいな……(ぐすん)」


 妹逹の部屋では、お母さんの読み通り、女子トークをしていた。


 葵ちゃんがベットの上で、座布団の上に座っている委員長を指差し、聞き出す。


「率直にくすのせさんに聞きます」


「は、はい……」


 困惑する委員長。その様子を、沙耶ちゃんとまどかちゃんが見守る。


「くすのせさん。にいちゃんの事好きでしょ!」


「……」


 黙り込んでしまう委員長。

 そこに沙耶ちゃんが救いの手を差し伸べる


「まあまあ、そう熱くならないの。楠瀬さん困ってるでしょ」


 委員長が答えられないのには理由がある。

 心の底から大好きな亮一くんを、ひと言で失いたくなかったから。


 もしも好きと言ったとして、妹さん逹から嫌われたら、もう亮一君とは一緒にいられない気がした。

 もしその場しのぎをしたとしても、この気持ちには嘘はつけない。


 どうすればいいか考えていると、沙耶ちゃんが喋りかけてくる。


「楠瀬さん。私は楠瀬さんがお兄ちゃんを見る目を見て、好きなんだなって分かってましたよ」


「えっ……!」


 驚きを隠せない委員長


「大丈夫。私逹は邪魔する気なんてないですよ。私逹、お兄ちゃんの事が好きな人が現れたら、どうしようか考えてあったんですよ」


 優しい口調で沙耶ちゃんが喋る。


「邪魔はしない。でも、私逹だってそれなりにお兄ちゃんの事が好きなので、譲る気はありません」


 まどかちゃんも口を開く。


「お兄の事好きならみんなで勝負……」


「そう言う事だから、くすのせさん。お互いライバルって事!」


「皆さん……」


 この関係が崩れないと知って、安心したからか、涙がこぼれる。


「では。ライバルとして、宜しくお願いします!」


 今、これにて、亮一争奪戦が始まろうとしていた

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