第30話-知幸の部屋

 お仕事中だったので、お父さま、お母さまには、ササッと挨拶を済ませ、玄関裏に回り、お邪魔することにする。


 今度会うときは、お仕事がお休みの時にでも、ゆっくりおしゃべりしたいな。


 さっそくだが、知幸の部屋まで来た。


 知幸が自分の部屋のドアノブに手をかけ、部屋のドアを開ける。


「さ、亮一も入った入った!」


「うん。お邪魔するね」


 知幸の部屋は小さくもなければ大きくもない大きさだ。

 壁には知幸が好きなバンドのポスターやが並び、置いてある物は、本棚にテレビ。ベットに、小さめのソファーがある。


「そのソファー使ってくれていいからな」


そう言うと、せっせとゲーム機をいじり始める。


俺はお言葉に甘えてソファーに座った。


「知幸、どんなゲームするの?」


「ん? 言ってなかったか? やるのはー……」


 やるゲームを言うその前に、部屋の向こうからからノックがする。


「ん? 誰だ?」


「ガチャ」


 入ってきたのは知幸の妹さんの葉奈ちゃんだった。


「兄さん、お父さんが店、お手伝いしてーだってさ。そんで私と交代。」


「え! 俺今からゲームやるところだったのになー……」


「だーめ! 交代!! 最近お店のお手伝いしてないじゃん」


 まじかーと言わんばかりに知幸はしぶしぶお手伝いに行くことにしたようだ。

 (知幸のお父さん怒ると怖いんだよ)


「すまん亮一。また今度遊ぼうぜ」


「気にしなくて大丈夫だよ。また今度ね」


 知幸は部屋を出て、お店に向かって行った。


 肝心な知幸が居なくなってしまったので、帰ろうかなと考えていた時、葉奈ちゃんがしゃべりかけてくる。


「あ、あの亮一さん。ちょっと頼みたいことあるので、私の部屋来てくれません……か?」

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