第21話-本屋さん

 本屋さんに向かいながら、お喋りをする。


「なあ、亮一。お前の妹さんってどんな子達なの?」


「みんないい子で、可愛い子達だよ。」


 委員長が「可愛い」という言葉に反応する。


「確かですけれど、血が繋がって無いのですよね……?」


「うん。お父さんが再婚して出来た妹達だから、血は繋がって無いよ」


「そうですか……。ライバル多いですね……(ぼそっ)」


 最後のあたりの言葉は俺にも、知幸にも聞き取れなかった。


 あっという間に到着する。我が先にと、知幸と委員長が争っている間、俺は小説を見に行く。


「今流行りの小説はどんなのなんだろう」


 ここの本屋さんは、ジャンルごとに人気ランキングが出ているのだ。迷ったらこれ見て決めている。


「今はラブコメが熱いのか」


 ラブコメはあまり買ったことが無いので、この機会に一冊買ってみることにする。


 早速ラブコメコーナーに行く。


「どういうのが良いかなー。出来れば妹達に貸しても楽しめるのが良いな」


 少し時間を掛けて厳選する。というか知幸達遅いな……


 厳選して決めたのは、「桜舞う日」と言う小説。ランキングも上位の方だったし、何より男子にも、女子にも人気だというところが決め手になった。普通に気になったし。


 決まった所で、後ろから名前が呼ばれる。振り返ると、委員長だった。知幸の姿はない。


「あれ? 委員長、知幸は?」


「それがね、揉めている時、知幸の電話が鳴って、ちょっと帰るわ。なんて言って、何処か行ってしまったわ」


 知幸どうしたんだろう。


「多分だけど、家が飲食店だからそのお手伝いだと思うよ。前にもそんな事あったし」


「そうですか……知幸さんも大変なんですね」


 知幸が居なくなったところで、委員長のレシピ本選びが始まった。


「亮一君はレシピ本とか買うのですか?」


「うーん。買うこともあるけど、今は携帯で調べられるから、あんまし買ってないかな」


「なるほど。ネットで調べる方法もありましたか」


 ふむふむと腕を組みながら頭を上下に振る。


「買うとしたら、これとかどう?」


 手渡したのは、初心者でも簡単に作れるレシピ本。


「この本なら、おかずや、お菓子まで載ってるよ」


 委員長は渡した本を手に取り、パラパラとテンポ良くページをめくる。


 この本の他にも色々見てみたが、最初に紹介したレシピ本が気に入ったようだ。


「私、亮一君が勧めてくれたこのレシピ本を買うことにしますね!」


 俺と委員長はお互い買い物を済ませた。


「亮一君。今日はありがとう。またよろしくお願いしますね! 後、お料理教えてくださいね」


「うん。それじゃあ帰ろうか!」


「はい!」


 こうして、本屋さんでのお買い物が終わった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る