第19話-委員長らしくない

 朝が来る。


 いつもよりお腹のあたりが温かい。


 ゆっくり目を開けると、まどかちゃんが俺を離さず、ハグしている。


 俺は朝ごはんの準備があるので、起きなければならないが、まどかちゃんはまだ寝ていられるので、起こさないようにベットを出る。


「ん……?お兄……?」


起こしてしまった。


「まどかちゃんもう少し寝てて大丈夫だよ」


「うん。お休み……」


 むにゃむにゃ


 すぐにまた、寝てしまった。


 もう怖くないみたい。


 あれから朝ごはんをみんなで済ませて、みんなで家を出る。


「あ、亮一くん、今日は、沙耶達のお迎えには私が行くから大丈夫よ。お仕事今日は早く上がれそうなの。気を付けて行ってらっしゃい!」


「分かりました。お母さんもお気を付けて! 行ってきまーす」


 家を出た俺たちはいつもと変わらず登校し、あっという間に学校に着く。


 校門前にいる先生たちに挨拶をし、学校に入る。


 靴から学校指定の上履きに履き替えていると、後ろから話しかけられる


「よう亮一! おはよう!」


 知幸だ


「知幸も今だったのか、おはよう」


「一緒に教室行こうぜー」


 俺と知幸は教室に向かう。


「なー亮一」


「ん? どうしたの?」


「正直に言ってくれよ?」


 何なんだろう


「あ、うん?」


「亮一ってさ、」


「うん」


「結構モテるよな?」


「……」


 ちょっと嫌味っぽく言う知幸。何かあったのだろうか。


「知幸、何かあったの?」


 心配しながらも聞いてみた。


「亮一……やっぱり気付いてないかー」


「?」


 この時は知幸が何故こんなことを言ったかなんて、知る由も無かった。


 自分の教室に入ると、みんなと軽く挨拶をして、席に座る。


「亮一君。おはようございます」


 委員長が話し掛けてくる。


「委員長。おはよう」


「昨日のお菓子はおいしく頂いたわ。とっても美味しかったわよ。ありがとう」


「いえいえ。委員長のお口に合って良かったよ」


 と、ここで委員長がもじもじと何か言いたそうにしている。


「あ、あの亮一君」


「うん?」


「えっと……その、亮一君……」


 知幸がまじまじと黙ってこちらを見ているが、そこは気にせずに委員長に聞き返す


「どしたの? 委員長?」


「えっとね……」


 今日は委員長らしくない。本当にどうしたのだろう


「スー」


 息を大きく吸い、言った。 


「私に、お料理を教えて下さい!!」


 って

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