第16話-委員長との出会い

 俺の家から委員長の家までの距離はそれほど遠くない。


 歩いていると、ふと思い出す


 委員長に最初に会った日を。


 その日は、学校最初の登校日の日。


 ――――


 初めての高校への登校。わくわくしながら少し早めに家を出る。


 そしてあっという間に校門前に着く。だが。


「ん?」


 校門前で、足首を押さえている女の子がいる。


 そう、この子が委員長。


 俺は駆け寄り、話しかける。


「あの、大丈夫ですか?」


 顔を上げたその子は涙目で、悲しい顔をしていた。


「あの、足……挫いちゃいまして……」


 新品の慣れない靴などであれば、転んでしまうような急で滑る坂。


「歩けますか?」


 女の子は首を横に振る


「それなら僕が保健室まで連れていきますよ」


「えっ……?」


 俺はその子をお姫様抱っこをし、歩き出す。


 女の子は顔を真っ赤にしていたが、嫌がる素振りは無かった。


「あの、ありがとうございます……」


「うん」


 持ち上げたのはいいが、保健室がどこにあるのか分からない。


 それもそのはず。この学校には初めての登校なのだから


 俺は校内を回った。


 腕がパンパンになったが、無事、保健室にたどり着いた。


「あった!」


 扉は空いている。


「すいませんー」


 誰もいない。先生は不在のようだ。


 とりあえず、その子をベットにそっと置く。


「ここで待ってれば、大丈夫だと思いますよ」


「あの、本当にありがとうございます。私、新入生の、楠瀬 真理香と申します」


 なんというか、お嬢様感がすごかった。


「俺も同じ新入生の、高津 亮一です」


 こんな感じで委員長とは知り合って、仲良くなった。


 今となっては、出会いと言う名の思い出か。


 ――――


 昔の事を思い出していると、委員長の家にあっという間に着く。


 俺は、出会いを思い出しながら、委員長の家のインターホンを鳴らした。

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