第15話-おやつ

 家に着くと、妹達はソファーにぐったり。

 きっと初めての環境に疲れたのだろう


 お父さんとお母さんは外でお仕事だ。夕飯前にはいつも帰って来る。


「にいちゃんー私おなか減っちゃったよー」


「お兄、私も……」


「恥ずかしながら、私もおなか減っちゃったな。てへっ」


 みんな育ちざかりだからな。おなかも減るよな。

 それより沙耶ちゃんの自然な、「てへっ」……可愛いじゃないか……


 すると葵ちゃんが


「あ、姉ちゃん可愛子ぶってるーにいちゃんが相手だからってー」


「おい葵? お姉さまにごめんなさいは……?」


 葵ちゃんが逃げる


「ねえちゃんのぶりっ子ー」


「なんだと葵ー!! まてー!!」


 また始まったよ。まあ、仲がいいと言う事だな。


「お兄、お姉達はいいから何かおやつ作って」


「分かった。まどかちゃんはお利口さんだね」


 なでなで。


 俺が頭を撫でると、ぐへーと顔が柔らかくなる。


 うん。可愛い。


「今、何か作るから待っててね」


 さてどうしたものか。おやつと言っても、材料が買わないと無いからなぁ。

 と、思っていたが、この前パン屋さんで買った大量のパンの耳があった。


 これなら油で揚げて、砂糖を振れば、おいしいおやつが出来る。


 俺が調理していると、妹達が寄ってくる。


「お兄ちゃん。何作ってるの?」


「パンの耳ドーナツだよ。油跳ねたら危ないから、みんな座って待っててね」


 妹達は言われた通りにテーブルに座り、おやつを待つ。


「出来たよー」


 テーブルにパンの耳ドーナツを出す。


 黄金色のパンの耳ドーナツを見た妹達は目を輝かせている。大したものじゃないけどね。でも嬉しいよ? もちろん。


「(妹達)いただきまーす!!」


 もくもくと食べる妹達。


「お兄。じょうてき!」


 妹達、全員からグッドサインをもらいました。良かった良かった。


 少し作りすぎてしまったので、委員長の真理香さんにおすそ分けに行くことにする。


 なぜ委員長にかと言うと、前に、肉じゃがや、おひたしなど、俺に食べて欲しいって言って持って来たことがあるからだ。甘いものも好きって聞いたことあるし……。まぁ、こんなんじゃお返しにはならないかもしれないけどね。


「みんな、これ作りすぎちゃったから、真理香さんにおすそ分けに行って来るね。今あるやつ、全部食べていいからね。でも夕飯食べれなくなるまで食べちゃダメだよ」


 妹達は、真理香。と聞いてこちらを睨んだ。


「彼女か」


「にいちゃんの彼女だね」


「お兄の彼女……」


「みんな違うから。前にたくさん貰ったから、少し返しに行くだけだよ」


 誤解を解く。


「なんだそういうことかお兄ちゃん」


「(妹達)行ってらっしゃーい」


 俺は家を出て、委員長の真理香さんの自宅へ向かった。

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