新しい生活

第12話-学校の始まり

 あれから少し時が過ぎ、お父さんと由香さんの婚姻届を出し、由香さんがお母さん。沙耶ちゃん、葵ちゃん、まどかちゃんが正式に妹になった。


 荷物もすべてこちらの家に持ってこれたし、今はあまり使っていない部屋が妹達の部屋になった。


 俺はみんなが来てくれてから、より一日一日が楽しい。沙耶ちゃんとの買い出し。葵ちゃんとの漫画の話。まどかちゃんとの公園。由香さんにはお母さんと呼べるほどに信頼関係が築けた。


 もちろんあの時買った花たちもハーバリウムにしてプレゼントしたよ!


 そして、俺の高校の休みが終わり、学校生活が始まろうとしていた…。


「よーし、みんないくよー」


 そう声をかけたのは俺、妹達と学校へ行くのだ。

 沙耶ちゃんは中学校へ。葵ちゃんは小学校へ。まどかちゃんは保育園に。


 みんな行先が俺の高校の近くだから、一緒に行くのだ。


「ごめんお兄ちゃん。忘れ物するところだった……。お待たせー」


「大丈夫だよ沙耶ちゃん。葵ちゃん、まどかちゃんも、忘れ物無いね?」


「私は大丈夫!」


「お兄、いこ」


 みんなの忘れ物チェックを済ませ、いざ出発!


 俺たちが向かう場所から家までは15分くらいで行ける。


 歩いていると、葵ちゃんが手を握ってくる。


「えへへーにいちゃんと手繋いじゃったー」


 すると負けずとまどかちゃんも手を繋いでくる。


「お兄のおててげっと」


 それに気が付いた沙耶ちゃんが


「葵! まどか! ずるい!!」


 なんて言うんだ。


 こんな感じで平和に過ごしていると、まずはまどかちゃんの目的地に着く。


「お兄、行ってくる。迎え来てね。」


「うん。行ってらっしゃい!」


 まどかちゃんは元気に走って行った。


 片腕が空くと、歩きながら沙耶ちゃんがくっついて来る。


「そんなにくっついてると学校で噂されるぞ?」


 俺がそう言うと、


「いいのいいの。むしろそのほうがいいのー」


 最近の若者は何を考えているのかわからない。


 次は葵ちゃんの小学校に着く。

 すると敬礼をしながら、


「にいちゃん行ってきます!」


 なんて言うんだ。

 だから俺は、


「葵さん行ってらっしゃいませ!」


って言ったんだ。


「にいちゃん軍人さんみたいー」


 俺たちは、ひと笑いした後、葵ちゃんと別れた。


 その後沙耶ちゃんを中学校まで送り、自分の学校に着く。


 校門に先生が立って挨拶している。


 しっかり挨拶をし、自分の教室へ向かう。


 いつもと違うみんなとの登校に、俺はとても幸せに感じていた。


 まさかこんなに楽しいなんて思ってなかったから。


 兄妹っていいな…なんて考えながら。

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