第11話-好きな物

 あれから俺とまどかちゃんは近くの公園に向かった。


「よーし到着!」


 この公園は少し大きくて、遊具もたくさんある。これなら好きな遊びが一つは見つかるだろう。


「まどかちゃん。まずは何がいい?」


 まどかちゃんは目をキラキラさせながらきょろきょろ周りを見ている。公園、来たことなかったのかな?


「お兄、あれ何?」


「ああ、あれはブランコって言うんだよ。乗ってみる?」


 コクリと頷き、ブランコに向かう。


「この上に座ってみて。」


 まどかちゃんが宙に浮く。


「しっかりつかまってね!それー!」


 俺は怖くならないように、そっとまどかちゃんの背中を押した。


「お兄、これ、鳥になったみたい!」


 まどかちゃんの楽しそうな声が公園に響く。


「お兄!これ楽しい!」


「それはよかった!一つ好きなもの見つけたね!」


「うん!」


 ブランコを満喫した後、滑り台、鉄棒。など、夕方になるまで遊び尽くした。


「お兄、今日はたくさん好きなもの見つかった!」


「それはよかった!お昼に食べた、サンドイッチも、外で食べるとおいしかったでしょ?」


「うん!でも、まどかね、好きなのほかにも見つかったの」


 そう言うと、まどかちゃんは、そっと俺の手を握った。


 それが何なのか、その時はわからなかったが、後で分かった。


 それは、俺自身の事だと。

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