第9話-寝よう

「あ、えっと……。沙耶ちゃん? 葵ちゃん?」


 俺の服にもぞもぞと顔を埋める二人。


「にいちゃんやっぱりいい匂いだねー」


 葵ちゃんにつられて沙耶ちゃんからも一言。


「そうだね! なんか落ち着く匂いー」


 どうしようかと考えていると、お風呂の沸いたときの音が聞こえる。


「あの二人とも、俺お風呂入るから。」


 すると二人は残念そうに下を向く。


「ざんねんだなーもっとぎゅーってしてたかったな」


「でもお兄ちゃんの邪魔はできないから……しかたないね。」


 なんとか二人を振り切った。嫌だったわけじゃないんだよ? 可愛い人からぎゅーってされたら誰だって普通じゃいられないでしょ?



 あれからお風呂を済ませた俺はリビングに向かう。


「お、亮一少しいいか?」


 リビングのテーブルに並んだ、空いている席に座る。

 ほかの席にはみんなが座っている。


「亮一、分かっていると思うが、お父さん結婚するから、この家でみんなで住もうと思うんだ」


 大体はそんな話なんだろうと予想は出来た。


「うん大丈夫だよ。荷物とかはどうするの?」


 その言葉に由香さんが答えてくれる


「そうね。それなんだけど、明日、みんなでまとめてこようと思うの。それで、亮一君にまどかの面倒を見てほしいの。お願い出来るかしら?」


 答えは二つもない。


「はい。任せてください」


 という感じで明日の事を話し、みんなお風呂を済ませ、寝る体制に入る。


「お父さん、みんなはどこで寝るの?」


 同じことを考えていたであろうお父さんに話しかける。


「そうだな、敷布団は一つならあったぞ?」


 考えていると、葵ちゃんが話かけながら抱き着いてくる。


「にいちゃん一緒にねよー」


 それを聞いていた沙耶ちゃんも話しながら抱き着いてくる


「葵、ずるい!私もお兄ちゃんと寝る!」


 これを見ている由香さんは止めようともしない。クスクス笑っている。


 まどかちゃんは…もうソファーで寝ちゃってる。


 こんなことをしているとお父さんが何か思いついたようだ。


「そうしたら俺のベットに、由香、まどか。亮一のベットに沙耶、葵。亮一は敷布団を自分の部屋に敷きなさい。お父さんはソファーで寝る。どうだ?」


……異論なし。それが一番いいと思う。


「よーし、にいちゃんの部屋へごー!」


 みんなそれぞれの場所に移動し、寝る準備をする。


「うふふーお布団にいちゃんのにおいだー」


 葵ちゃんと同じように沙耶ちゃんも同じ事をしてる。


 俺は敷布団を敷き、寝る準備バッチリだ。


「よーし。電気消すぞー」


「(二人)はーい!」


 こうして、愉快な一日が一つ、終わったのである。

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