第3話-ゲーム

「まどかちゃんはゲームが好きなの?」


 顔の位置が同じになる様に、しゃがみ、まどかちゃんに問いかける。


「うん。好き……」


 まどかちゃんは笑顔で答えてくれた。

 妹とはこんなに可愛いのか……。


「そうしたら、ロニオ・カートやる?」


 ロニオ・カートとは、赤い服と、緑の服を着た兄弟、その仲間たちが繰り広げるテレビゲームだ。ほかにもゲームは数々持っているが、盛り上がれるのはこれだろう。四人まで一緒にできるから、沙耶ちゃんと葵ちゃんも誘って、みんなでやることに。


「持ってくるからちょっと待っててね」


 せっかくだから、俺の部屋からゲームを取り出して、リビングの少し大きなテレビでやることにする。四人プレイになると、画面が小さくなるから。


「よーし、これで準備完了かな!」


 コントローラー四人分持っててよかったー……なんてことを思いながら、みんなにコントローラを渡す。


「おお……! みんな頑張れよー!」


 お父さんはご機嫌みたいだ。


「みんな。キャラ決まったらボタン押してね。」


「1P.OK。2P.OK。3P.OK。4P……」


 4Pは沙耶ちゃんだ。どうしたのだろう。


「沙耶ちゃんどした?」


 沙耶ちゃんは慣れない手つきながらも、コントローラを握り、必死にキャラ選択をしている。


「あの、うまく操作出来なくて……」


 コントローラの握り方がよくないみたいだ。


「これは、こう持つんだ」


 沙耶ちゃんの後ろから手を伸ばし、手を動かして正しい持ち方に変えてあげる。


「これで大丈夫。操作しやすくなったでしょ?」


 沙耶ちゃんの顔を見ると、顔が赤い。後ろから手を伸ばすの、まずかったか? 中学一年生だもんな。


「あ、ありがとう……」


 顔が赤いながらも、笑顔でこちらに向いてくれた。良かった。そうそう嫌われたかと思ったよ……


「4P.OK。Ready?」



 あれから一時間経過し、少し休むことに。


「いやー葵ちゃんにまどかちゃん。上手くてびっくりしたよ……」


 するとお母さんがふふっと微笑みながら


「葵にまどかは、ゲーム好きでねー。特にまどかはほっておくと一日中ゲームしてるのよ。」


「へーそうなんですか。道理でうまい訳だ」


 お母さんと話していると、紗耶ちゃんがむっとした顔で


「私はどうなんですか!」


 むっとしながらもなんとも可愛いと思ってしまう。


「紗耶ちゃんは扱い難しいクュッパだったから、練習すればきっと、葵ちゃんや、まどかちゃんにも勝てるよ!」


「それならば、後でゲームやらせてください!」


 悔しかったのだろう。負けず嫌いなのかもしれない。


「おい亮一、そろそろお昼だから、ゲーム片づけてくれ。お昼をみんなで食べに行こう」


 すると、妹たちが目を輝かせて、リビングを駆け巡る。

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