第2話-対面
「ほら、叫んでないで早く着替えなさい」
そうと分かったら早く着替えなくては。
寝巻のまま迎えたら礼儀がないと思われてしまう。
「お父さん、何時ごろ来る予定?」
「ん? もう来ると思うぞ?」
するとうしろのほうから今鳴ってほしくない音が聞こえた。
「ピンポーン」
「ほらな、来たぞ?」
「ほらな、じゃないよ! 少し前に声かけてくれてもいいじゃないか!」
まったく配慮が足らない。と、言っても悪いのは自分なんだが……。
「迎えていいか?」
もうどうしようもない。
「はい。どうぞ……」
そう俺が答えると、お父さんはまぶしい笑顔になり、ドアノブに手をかける。
「ガチャ」
「いらっしゃい!」
するとドアの向こうから奇麗な人と、可愛い人達が現れる。
「あなた。とても会いたかったわ」
いかにも大人。奇麗で暖かい人がお父さんをあなたと言う。
なんかこっちまで恥ずかしいわ。
「こんにちは!」
妹であろう三人が礼儀正しくお父さんに挨拶をしている。
「あら? 後ろにいるのがあなたのお子さん?」
みんなの視線がこちらに向く。あー……ちゃんと出迎えたかったな
「こんにちは。こんな姿ですいません……」
「そんなに気を遣わずいいのよ? ここは、あなたのお家でしょう?」
優しい人で助かった……
「みんな。どうぞお入り」
こうしてみんなと出会った。俺の姿こそ最悪だったが、確かにお父さんの周りには、幸せが溢れていた。
そのあと、俺は歯磨き、寝ぐせ直し、着替えを済ませみんなのところへ向かう。
するとお父さんがこちらに気づいた。
「亮一、やっと来たか。みんなでお前の話をしていたところなんだ」
「紹介するとしよう。私の妻になる
「
小さく一礼をして、挨拶をしてくれた。
「こちらこそよろしくお願いします。お父さんを支えてやってください」
すると驚いた顔をしながらも頷いてくれた。
「ほら、あなたたち、お兄ちゃんに挨拶」
一番最初に挨拶をしてくれたのはこの中で一番年齢が近いであろう子だ。
「紗耶です。中学1年になります。よろしくお願いします」
礼儀正しく、そして奇麗な長い髪。初めて見た感想としては、お嬢様みたいに凛としている。
次に挨拶してくれたのは、髪を編み込んだショートヘアの子。
「にいちゃん! にいちゃんだ!! うれしー!」
元気がよく、パワフルな子だ。いつでも元気を与えてくれる。そんな印象だ。
「この子は葵。前からお兄ちゃんを欲しがってたのよ?」
「うちの亮一も妹欲しがってたんだよ!な?亮一」
「そうだけど恥ずかしいからよしてくれよお父さん」
お父さんががっはっはーと笑う。
「ほら、まどかもお兄ちゃんに挨拶なさい?」
するとお母さんの後ろから恥ずかしそうに顔をひょっこり出して
「お兄…あそぼ……?」
なんと可愛いこと。いや、みんな可愛いよ?でもみんなとは違う恥じらいがあるからより可愛い。
「いいよ。何して遊ぶ?」
するととても嬉しそうな顔になり、こちらに歩いて来る。
俺の服の端っこを引っ張り、
「ゲーム……。」
と言った。
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