妹からの愛がすごい

トリビュート

出会い

第1話-再婚

「お兄ちゃんあそぼー」


「違うよ! にいちゃんはあたしと遊ぶのー」


「お兄、げーむしよ……?」


「あー何でこんなことになったんだ……? でも、嫌われているよりは何十倍もいいな……」


 遡ること丁度10日前。


 俺とお父さんは夕食を食べていた。


亮一りょういち、お父さん、話があるんだ。ちょっといいか?」


 俺、高津 亮一たかつりょういち 。ごく普通の高校二年生。成績も平均。スポーツも人並みにできる。

 良いところは自分では思いつかないが、クラスのみんなからは優しいと言われる。

 そんな俺の普通の日常が、この日を境に変わろうとしていた……。


「うん?どうしたのお父さん」


 お父さんがすごく真剣な顔で話しかけてきたので、俺も真剣に聞く。お父さんがこんな真剣な顔になるのは、離婚してしまったお母さんと、離婚の話になった時以来だ。


「お父さんな、再婚しようと思うんだ……」


 お父さんとお母さんが離婚した理由は、たぶんお母さんにあると思う。お金の使い方荒かったし、俺の面倒なんてあまり見てくれなかったからなぁ。

 それはともかく、お父さんが再婚したいというなら、俺は止める理由はない。


「いいと思うよ」


お父さんはしばらく驚いた様子だったが、しばらくすると、優しく、とてもうれしそうな顔つきになる。


「いいのか?! お父さん、再婚しても!」


「うん。俺、お父さんが幸せなら、俺も幸せだから」


するとお父さんは泣きながら、


「ありがとう亮一……。ありがとう……」


その言葉には、いくつもの幸せがこもっていたと思う。


「お父さん。今度こそ幸せに」


「ああ亮一……。迷惑をかけるな。ありがとうな」


この日のお父さんの笑顔は、どんな太陽よりもまぶしかった。


「ああ、そうだ、お父さんが再婚するとな、亮一に妹ができる。前から欲しがってたろ。妹とか弟欲しいって」


 俺はかなりびっくりしていたと思う。あまり思考が回らない。


「確か、三人だったと思うぞ?紗耶さやちゃんだろ?それにあおいちゃん。あとまどかちゃんだ」


「な、なにいいいい!!」


大声を上げてしまった。まさか三人とは思わなかったから。てっきり一人だと…。


「なんだ、そんなに嬉しいか!! よかったな!がっはっはー!」


俺はこの後の会話の事をあまり覚えてない。混乱し過ぎたんだと思う。



「がばっ!!」


 気が付くと俺はベットの上にいた。


「夢……か?」


 二階の自分の部屋からリビングに降りる。

 すると、お父さんがコーヒーを飲みながら新聞を読んでいる。


「あ、お父さん朝早いね。おはよう」


 お父さんがこちらに気が付く。


「おお亮一。おはよう」


 いつもと変わらぬ会話。やはり夢だったか…?


「亮一、早く着替えたほうがいいんじゃないか?そろそろ来ると思うぞ?」


 あれ?


「え。何が来るんだお父さん」


「お前寝ぼけてるのか?昨日話したじゃないか。新しいお母さんと妹たちが来るぞ」


「ゆ、夢じゃなかったああああ」

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