6-1
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その日、宵闇は俺が3曲叩くと、そのデータを持ってほんとにさっさと帰って行った。そして、言った通りにドラム録りの間まったく顔を出さなかった。
何考えてんだかわからんけど、俺は俺の好きなように叩いて、自分で自分のテイクにOK出して、順調に3日間でレコーディングを終わらせた。邪魔が入らなくて良かったっちゃ良かった。宵闇にあれこれごちゃごちゃ言われたら面倒だからな。
で、宵闇がベースのディレクションやれっつったし、今日もスタジオに来た。
ベース録り初日だし、時間ちょうどに始まるはずもないから、30分くらい過ぎてから到着。宵闇はブースの中でベースを弾いている。
エンジニアからヘッドホンを受け取って椅子に腰掛け、そのままその様子を眺める。意外にちゃんとスケール練習なんかから始めるんだな。確かに、こいつのベースは朱雨と礼華のギター組よりはレベルが上だ。
キリがついたところで、宵闇が顔を上げる。目が合ったから、片手を挙げて「おはよ」って声をかけると、ヤツも返して来る。
「そろそろ始めるから、録ってくれ」
インカムを通した宵闇の声が聞こえる。エンジニアが了解の返事を返す。
「Hate or Fateからだ。ドラムとギターの音をくれ」
ガイドギターは、今日も宵闇が自分で作った打ち込みか。朱雨たちに頼むより、よっぽど正確だからその方が断然いい。俺もジャストに叩いてあるから、きちんと重なるし。
「夕、通しから行く」
「あいよ」
クリック音に続いて、イントロに入る。
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