六日目(三)
僕らがそんな話をしていると、女性陣もこちらに来た。料子さんが僕らに説明する。
「食事のほうは、魚中心でメニューを組んで、しばらくは大丈夫そうよ。新しく来る人が食材を持って来なかったら、だんだんと苦しくはなるけど」
「そうか。まあ、何とかなるだろ」とスカウトさん。
「服は今着ているものをしばらく着続けてもらうとして、簡単な洗濯なら手洗いで出来なくもないわ。それにそのうちお風呂が必要になるかもね」
「風呂か……ドラム缶でもあれば作れるんだが……今は手頃なものがないな」
「そうですよね。水を溜めるだけなら、樹をくり抜いてでも出来ますが、火で温めなくちゃいけないですからね」
釣りキチさんが残念そうに言う。
「少量なら土鍋で温められるんですけどね」
僕のその言葉に被さるように桂坂さんが言った。
「陶器でもあれば使い勝手がいいのにね」
「土を焼く技術も簡単じゃないからな……」とスカウトさん。
「暖房とか冷房とかはもちろんないけれど、寒さをしのげるような布みたいなものはあるから何とかなると思うわ。ただ、裁縫道具もないし、私もそっちは専門外だからあまり加工とか期待しないでね」
料子さんは料理人だから、あまり深い知識はないのだろう。桂坂さんはどうだろうか?
「まあ、とにかく昼飯にしよう。さすがに何日も朝飯抜きだとこの時間は腹減るな。おかげでダイエットには最適だよ」
珍しくスカウトさんが冗談を言ったので、みんな笑った。
昼飯を摂りながら、話題は自然に次に来る人のことになった。もうすぐこの世界に六人目が来るはずだ。僕ももうそれには疑いを持たなかった。
「次はどんな人が来るんでしょうね」
釣りキチさんが切り出す。
「食糧、たくさん持ってきてくれると嬉しいんだけど」と桂坂さん。
「欲しいものはたくさんあるけどな。さっきも話に出たように、食器などの調理器具、裁縫道具や大工道具とかな」
スカウトさんが言うのを聞いて、僕は何があれば助かるかな、と想像を巡らせた。
「まあ、そうそうタイミング良く欲しいものが手に入るとは思えないけどな」
「あの……提案があるんですけど」
釣りキチさんがちょっと言いにくそうに口を開いた。
「午後からの来訪者の受け入れなんですけど、もうこれからは一人とか二人で受け入れるようにしません?」
「ほう 。それはなんでかな?」
「他の人はそれぞれの作業をして、少人数で迎えに行ったほうが効率がいいかと。その日の午後は事情説明などで、一人は付き添いっぱなしになると思うんで」
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