邂逅(二)

外に出ると、今日は天気がよく、雲もあるが、青空も見える。風も心地よい程度に吹いており、樹々の葉っぱもさらさらと揺れている。


「気持ちいい!」


こんな状況でなければ、とても快適な土地なんだけどなぁ。今朝は、この家を中心に歩き回って捜索してみるか……


あらためて辺りを見渡してみるが、特に昨日と印象は変わらない。集落の周りには畑らしきものは少しあるが、それ以外は森に囲まれており、樹々が密集している。


午前中、集落を中心に、昨日と同じ方法で二度ほど捜索してみたが、やはり樹々が並んでいるだけで、特に変わったものはなかった。鳥や小動物も見かけることもなく、ある意味とても静かな森だ。


ただ、昨日の疲れが残っているのか、足が重く、あまり効率の良い探索とは言えなかった。僕はお昼前に一度、家に戻って横になった。


「ここに来てから、もう丸一日経つのか……」


早いものだ。昨日はものすごくたくさんのことがあった筈なのに……思い返せばあっという間だった。寝転びながら思わず呟いた言葉をきっかけに、僕には思いついたことがあった。


昨日僕が意識を取り戻した場所に行けば、また何か分かるかもしれない!


もしかしたら、誰か来ているかも知れないし、あるいは誰か来たなら痕跡を残してくれているかも知れないからだ。そこに思い至った僕は、善は急げとばかり、体を起こすと現場に向かった。


僕が昨日目覚めた場所にたどり着いたのは、少しお昼に差し掛かった頃だと思う。

スマホを切っているので、正確な時間は分からないが、太陽の位置からそう判断した。


周辺を見渡してみたが、人影は全くなく、誰かが訪れたような痕跡も全くなかった。昨日の風景を全部覚えているわけではなかったが、特に大きな変化はなさそうだ。


僕はここでしばらく待ってみることにした。僕は小腹も空いてきたので、持って来ていた非常食のビスケットをかじって座り込んだ。


「こんな状態がいつまで続くんだろう? 僕は助かるのだろうか……?」


いつの間にか、独り言を呟いていたようだ。楽観的な僕にも、そんな不安が頭にもたげてくる。


その時だった!


昨日、僕が目を覚ました場所が、一瞬空気が揺らぐような状態になって、そのあと

すぐに収まると、なんとそこには一人の女の子、いや女性がいた!


「あっ!」


僕は思わず驚きの声を上げた。ショートヘアのカジュアルな服装の女性だ。背丈は僕より少し低いぐらいか。

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