復活の黒
エリクとログウェルの激闘によって
そうした者達に含まれるケイルとリエスティア達は、神殿の入り口を越えて内部まで辿り着いていた。
そこでケイルは自身の魂に干渉され、
ただの子供でしかなかったシエスティナが、『黒』の人格を見せ始めた。
過去に幼い『
しかしその現象を理解できず、困惑を浮かべながら再び問い掛けた。
「――……お、お前……マジで『黒』なのかよ……!? どうして……」
「マギルスから、聞いていませんか?」
「え? ……そういや、
「はい。本来の『
「ど、どういうことだ……?」
「
「!」
「
「……ワケが分かんねぇ……。そもそも、どうしてまたあの『
「本来の『
「……つまり今回は、エリクと
「はい。なのであの二人が戦いを終えるまでは、今の『
「!」
ケイルに対して『
背負われる
リエスティアはそれに安堵の息を零し、改めて『黒』となったシエスティナに話し掛ける。
「……貴方が、『希望』なんですね?」
「え?」
「厳密には、
「……ど、どういうことだよ?」
『黒』とリエスティアだけが通じる話を交わすと、ケイルは訝し気な表情を浮かべて呟く。
それに答えるように、『黒』は今までの経緯を明かした。
「『
「!」
「そして
「……何もかも、お前の手の平ってことかよ……っ」
「ごめんなさい。それでも、私はここに来る必要があったんです。……貴方達と一緒に」
『黒』は今までの出来事や今現在の状況が自分の
そんな彼女に謝罪を向けた後、『黒』は自らの意思でこの場までシエスティナを導いた事を明かした。
するとケイルは訝しげな表情を強め、厳しい視線を向けながら問い掛ける。
「……で、何か策でもあんのかよ?」
「最初にやるべき事は、
「どうやって? 今のアリアが手も足もでない強さだぞ。そんな奴を、アタシ等で倒して止められるのか?」
「倒すのは無理です。でも、彼女が
「……はっきり言って、アタシや
「ちょ、ちょっとぉ! 私も頭数に入れないでくれなぁい……!? 私だってあんなの戦えないわよぉ」
アルトリアと共にメディアと戦える人選の中で、ケイルは自分自身とクビアの名を零しながらも対応できない事を語る。
それについてクビアも同意し交戦を拒否する様子を見せると、『黒』は二人に視線を向けながら教えた。
「
「え? じゃあ、他に誰が……。……まさか、お前がって言うんじゃねぇだろうな?」
「ある意味、正解です」
「はぁ!?」
「厳密には、
「あの場所なら……?」
『黒』はそうした含みのある言葉を述べると、二人から視線を逸らしながらケイルの背負う人物を見る。
それに気付いた二人は唖然とし、呆気を通り過ぎた怒声を向けた。
「……まさかお前、
「はい」
「何言ってんだっ!? 正気かよっ!!」
「正気も正気です。
「アリアみたいに魔法が使えたり、アタシみたいに戦う技術があるならともかく! コイツにはそういうのは無いだろっ!?」
「あります」
「!?」
「忘れましたか?
「……!!」
落ち着いた面持ちで問い掛ける『黒』の言葉に、ケイルは同時に瞳を見開く。
すると背負われているリエスティアは緊張した面持ちを浮かべながら息を飲み、ケイルに感謝を伝えた
「ケイル様、ここまでありがとうございます」
「お、おい……」
リエスティアはそのままケイルの背中から降り、自らの両足を床に着ける。
すると『黒』となっている
「ごめんね、リエスティア。君には不憫な思いばかりさせてしまって。……恨んでいるよね? 『
「……いいえ。私は今まで、何も出来なかったけれど。でもこんな時だからこそ、皆様の御役に立ちたいですから」
「そっか。君は両親と同じで、優しい子だね。……それじゃあ、君は左手を。私は右手を」
「はい」
二人はそう言いながら左右の手を伸ばし、互いに重ね合わせる。
すると次の瞬間、
それが
「――……あ、あれ?」
「!」
「光が止まった……。……おいっ、何が――……!!」
シエスティナは不思議そうな表情を浮かべながら正面を見ると、そこに居る
そして何が起こったか分からないケイルが二人に問い掛けると、今度はリエスティアが落ち着いた面持ちを浮かべ、黒い瞳を見せながら答えた。
「――……リエスティアの身体を、一時的に借りました」
「借りたって……お前、『黒』かよっ!?」
「はい。元々リエスティアの身体の中には、今までの『
「……そんな事も出来んのかよ。何でもアリだな」
「『
「はぁ……。……それで? お前が
「
「――……!!」
リエスティアの
そして彼女達にこの状況を打開できる策となる言葉を、アルトリアへ伝えるよう頼んだ。
一方その頃、
すると映し出されるログウェルとエリクの姿を見ながら、僅かに微笑みを強めながら呟いた。
「――……そろそろかな」
何かに気付いたメディアは、そのまま映像を見続ける。
まるでこれから起きることを予期し、楽しむ様子を浮かべていた。
こうしてシエスティナからリエスティアを介して復活した『黒』と、ケイル達は共闘する。
更にアルトリアですら
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