強者合流
そして人間に対する『試練』と称して天候を操り、地上の人間大陸に数々の災害を
それを阻止する為に追ったユグナリスとマギルスは、
更に『
しかしそうした最中、落下していく二人を救出する者が現れる。
それはフォウル国から古代武装の一つである『
こうして二人を乗せた『
そこでは
「――……ムゥ……ッ!!」
『青』は魔導師ながらも錫杖を構え振り、格闘戦を得意とするバリスと互角の打ち合いを続けている。
更に
しかし実力の高い歴代の『緑』を相手に、『青』は防戦に持ち込まれている。
特に見た目の老齢に見合わないバリスの
そしてユグナリス達が
その一撃には『生命の風』も纏われており、『青』の
「グ――……ッ!!」
右側に傾いた『青』の動きと同時に、バリスは下げていた右腕と共に右拳を振るう。
そして『青』の
『青』は残る左脚だけで地面を蹴り、
しかし振り上げられた右拳と同時に放たれていた右脚の
「ガ、ハ――……ッ」
「……やはり、
蹴り込まれた脚撃は先程と同じように『生命の風』が纏われており、命中した『青』の腹部を切り刻みながら更に吹き飛ばす。
そして十数メートルほど後方まで吹き飛ばされた『青』は、白い地面へ投げ出されながら錫杖を離して倒れた。
『青』の身に纏う青い
そのトドメを刺すように、ガリウスが
「じゃあな」
「……ッ!!」
錫杖も手放し自身の負傷によって矢を回避できない『青』は、自身の上体を起こして両手を前へ突き出す。
そして放たれた矢は右手の平に命中し貫くと、『青』はそれと同時に右腕を外側へ薙ぎ、掴んだ矢の軌道を変えて右手の平から貫かせた。
しかしその受け流しによって右手は吹き飛び、そこからも大量の血が流れ始める。
右脚と右手を壊され腹部に大きな
「流石は『青』の
「……嫌味にしか聞けぬな」
「素直な賞賛ですよ。……確か今の貴方を殺すと、次の
「……っ」
「ここは遠慮せず、
近付いたバリスはそう述べ、右拳を握る。
そして座り尽くす『青』の顔面を狙いながら、突くように右拳を放った。
すると次の瞬間、『青』の
それが
衝突した拳と斬撃は衝撃波を生み、僅かにバリスを
更に追撃して放たれる幾多の
そうした間に、『青』の背中に一つの紙札が張り付けられる。
すると『青』はその場から消え、バリス達から見えながらも先程よりも離れた場所へ転移させらていた。
そしてその周囲に、突如としてかなりの人影が現れる。
それを見た『青』は、乱れた息を吐き出しながら彼等に声を向けた。
「……お前達だったか」
「――……間一髪ってところかしらぁ?」
「――……いや、明らかに出遅れてんだろ」
『青』を囲むようにその場へ現れたのは、長い金髪と着物姿ながらも九つの尾を持つ妖狐族クビア。
更に逆の立ち位置には、左腰に以前にもナニガシから借り受けた大小の刀を持つケイルが立っていた。
そしてバリスもまた、自分に斬撃を飛ばす者達の姿を目にする。
そこにはクビアと同じ容姿をした妖狐族の姉タマモが現れ、それと同時に
妖狐族の偽装魔術によって現れた彼等に対して、バリスは姿勢を戻しながら向かい合う
「御久し振りですね。
「……確か、バリスだったか。お
「そういうことになるでしょうか」
「そうか、それは悲しき事よな。……お主もそう思うだろう?――……シルエスカ」
「!」
面識のあるバリスが敵側であると理解した
すると次の瞬間、バリスの左真横に炎を纏わせた斬撃が飛んだ。
そして改めて
しかしシルエスカの表情は憤怒に近い強張りを見せ、目の前に立つバリスへ怒鳴る。
「――……バリス……。……何をやっているんだ、お前はっ!!」
「シルエスカ様……」
「昔からお前の事だけは、誰よりも信頼できる者だと思っていたのに。……こんな形で裏切られていようとは、微塵も思わなかったぞっ!!」
「……申し訳ありません。……しかしこれが、今の
「!!」
かつてルクソード皇族であるシルエスカにも仕えていたバリスは、そう述べながら両拳を握り構える。
それを聞いたシルエスカは強張る表情を強めながらも、槍を構え炎を纏わせながら
そうした状況をやや離れた位置で静観していたガリウスは、突如として現れた者達を見ながら呟く。
「
ガリウスは現れた者達に対して知らぬ様子を見せながらも、自分の
すると次の瞬間、そちら側にも透明な状態で潜む者が潔く姿を現した。
それは
「――……上手く隠れていたつもりでしたが」
「悪いね。俺にそういうのは効かないんでさ」
「そうですか」
「んで、あの
「御子息です」
「そうか、息子か。俺が死んでから随分後に作ったらしいな。……ちなみにお嬢ちゃん、もしかして千代嬢の身内か?」
「……母上も御存知なのですね」
「大昔に
「はい。私は千代母様の
「そうか、そりゃ良かった。――……んで、お嬢ちゃんは俺とやるか?」
「僭越ながら。――……
「いいぞ、千代嬢みたいに遊んでる。――……掛かってこいっ!!」
「ッ!!」
そして改めて向かい合い対峙する事を選び、
こうした中で、負傷した『青』を回収したケイルはこの状況を問い掛ける。
それに答える『青』は、新旧『緑』の
「――……『緑』の
「人類を追い詰めるだと……? 滅ぼすつもりじゃねぇのか」
「自分達を止められなければ、価値が無いと判断し滅ぼすつもりのようだ」
「なんだよ、そりゃ……。……それで、ログウェルって爺さんは?」
「
「アイツ等か。……エリクは、まだ来てないのか」
「まだだな」
「チッ。だったらアタシも師匠達に加わって、アイツ等を倒しちまうか」
「待て。……それより、あの者を……聖域に連れて行ってくれ」
「え――……!」
『青』はそうして残る左手の人差し指を動かし、ある方向へ向ける。
するとその先には、周囲に残る瓦礫に隠れているリエスティアとシエスティナが見えた。
その意味を理解すると、ケイルは溜息を鼻から吐き出して答えを返す。
「……はぁ。……ここは、アンタ達に任せていいのか?」
「ああ」
「分かった。――……クビア、行くぞっ!!」
「えぇ? 私もぉ……!?」
「お前が居ないと、アリアを逃がせないだろっ!! ほら、早く!」
「だ、だったらいっぱい報酬は貰うからねぇ!」
「分かったから、さっさと走れっ!!」
そう言いながらリエスティア達と合流すべく、ケイルとクビアは走り始める。
それを見送るように見ていた『青』は、左足と左手で腰を上げて身体を起こし、破壊された右手と右脚、そして腹部を青い
更に再生させた右手を落ちている錫杖に向け、それを転移で引き戻す。
更に自分自身も転移させ、シルエスカ達と同じ場所に立ちながらバリスと向かい合った。
「――……形勢は、こちらに傾いたな」
「そうでしょうな。……では、ここから本番としましょうか」
再び戻った『青』も戦列に加わると、バリスは四名の強者と向かい合いながらも臆する様子を見せずに立ち向かう。
そして彼等は衝突し、暴風が吹き荒れる中で激しい戦いを繰り広げ始めた。
こうしてアズマ国に居たケイル達は、
そしてバリスとガリウスという強敵を抑えさせ、ケイル自身はリエスティア達を伴い、アルトリアがメディアと戦う聖域へ向かおうとしていた。
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