再戦の刻
それに対して
しかし突如として、二人が持つ
すると
二人の融合体は紫色の炎を肉体から生み出しながら、彼等の
それを見ていた
「!」
『来るよっ!!』
吸収される大気の流れを感じる
それでも向かい続ける
『――……フンッ』
「ッ!!」
次の瞬間、口を閉じた
それは通常ならば視認できない程に無色透明ながら、向かう
すると上昇し続けていた
そして
通過した何かはそのまま真下に広がる暗雲を貫き、それすらも瞬く間に消失させながら真下に広がる海へ着弾する。
すると海のど真ん中に巨大な穴が開くように、海水が巻き上げられた。
それをぽっかりと空いた暗雲を通して視認していた
「い、今のは……何が……」
『多分、
「息って……アレがっ!?」
『僕等も出来るじゃん。息を溜めて、それを思いっきり吐き出すだけ。――……それをあの
「……!!」
精神を介して話す二人は、
天候だけではなく単純な息ですら脅威の攻撃となる事を改めて認識した
『避けてしまったか。地上の者達も、
「え……っ」
『儂の息が吹かれた海には、巨大な津波が起こるじゃろうな。……地上は、どうなるかのぉ』
「……しまったっ!?」
天空に響く
そして再び暗雲に空いた海を見ると、巻き上げられた海水が巨大な津波となっていた。
その光景を見下ろす
『もう一度、行くぞぃ』
「や、止めろっ!!」
『そんな情けないことを言う前に、自分達で
「っ!!」
制止を聞かない
しかしその防ぎ方が分からずにその表情を強張らせたままでいると、
『僕に任せてよ!』
「えっ!? ――……な、なんだ……!?」
すると紫色の炎は直径数キロに及ぶ距離まで瞬時に拡散し、巨大な炎の壁を作り出した。
そして次の瞬間、その
すると凄まじい衝撃を起こしながら大気を揺らした後、息吹が衝突した炎壁が更に巨大で分厚く変化し始めた。
その防御がどういう仕組みで起きたか理解していないユグナリスの
「こ、これは……っ!?」
『へへぇ。火って、空気があるから燃えるんでしょ! だったら、僕等の炎で向こうの
「えっ、え……!?」
『アリアお姉さんが前に教えてくれたことだけど、意外と役に立つね!』
「いや、あの……吐き出される息って、確か酸素じゃなくて……二酸化炭素っていう、燃えない方のやつだったような……」
『あれ、そうなの? まぁいいじゃん! なんか出来てるんだし!』
「え、えぇ……」
精神内のマギルスはそう話し、防壁にした炎の仕組みを明かす。
それを聞いていたユグナリスの意識は、自分の知る知識と理屈に合わぬ方法にやや困惑染みた表情を浮かべた。
すると
それに気付いた
『
「!」
『お前さん達の融合も、生命の火があってこそ。……まぁ、それを本人すら自覚しておらぬのが笑えるところよ』
「……俺の『
『へぇ。だから僕、お兄さんの炎になっちゃったんだ。雨と風も消してるんじゃなくて、この炎で吸ってるんだね』
更に『生命の火』に吸収されたマギルスは自分自身の意思で紫色の炎を操ることが出来たのも、自分自身が
だからこそ、周囲の
それをようやく理解した
『これなら!』
「ああ、これなら――……ログウェルの攻撃は、全て
彼等は自分達の得た
すると全身から湧き上がる紫色の炎が激しさを増しながら、その
それに対して
しかしその視線は微笑みではなく憐みを宿し始め、それを言葉として吐き出した。
『言うたじゃろ。お前さんの火は、
「!」
『……あ、あえ……』
「マギルス殿っ!?」
勢い強く燃えていた紫色の炎は突如として弱まり、更に
そして飛翔速度が減衰した
ユグナリスの意識はそれに驚愕し、自身の
「こ、今度は何が起こったんだ……!?」
『燃やし過ぎたんじゃよ』
「!?」
『
「な……っ!?」
『そのままの
「そ、そんなの……いいワケが――……っ!!」
『生命の火』に関する『
その途中で彼の声は途切れ、
すると
隣に浮かぶ青い
しかしマギルスは瞼を閉じたまま意識を失っており、その
それに気付いたユグナリスは動揺と困惑を浮かべながらも、落下するマギルスを追うように急降下した。
「――……マギルス殿っ!!」
「……」
『
「……ク、クソォオッ!!」
上空から響く
それにより不本意な落下を強いられるユグナリスは自身の無力を嘆く以上に、付いて来てくれたマギルスを危険に晒したことを激しく後悔する。
落下し続けしかない二人を見下ろす
しかし次の瞬間、真竜となったログウェルすら驚愕するモノが現れた。
『むっ』
それは人型の姿をした二十メートル程の巨体であり、マギルスとユグナリスに向かって凄まじい速さで飛んでいく。
すると落下する二人に両腕と両手を差し出し、落下速度に合わせて緩やかに手の平へ乗せた。
ユグナリスはその時の衝撃で僅かに息を漏らした後、自分を持つ巨体に視線を向ける。
「グ……ッ!! ――……こ、コレは……!?」
『――……若いの、大丈夫か?』
「!」
『……なんじゃ、もう一人は本当にマギルスではないか。どういう状況じゃ?』
「……ご、
ユグナリスが見上げるのは、人型の姿をした巨大な機械人形。
それを
『これは
「ウォ、ウォーリアー……?」
『それより、ほれ。お前さんの望み通り、届けてやったぞ。エリク!』
『――……ああ』
「!」
『
それと同時に胸部分の機構が開き、そこから二人の人影がユグナリスに見えた。
その内の一人は、
更にその
そしてエリクは上空を見上げ、空に浮かぶ
すると互いに視線を向け合い、エリクは鋭い眼光を、
「――……アレは、あの
『ほっほっほっ。――……来たのぉ、傭兵エリク』
二人は互いに姿を目にし、互いの存在を理解する。
特にエリクは
こうして融合体と成りながらもその強大な
そして視線を重ねる二人の
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