紫の炎
地上の人間大陸は異常とも言える
それに巻き込まれる者達は懸命に生きようと抗いながらも、短時間で見舞われる劇的な変化に対応することは出来なかった。
その
真竜の姿となった彼は人間大陸に厄災を起こし、それを静観するように
そんな
二人は互いの
「――……行くよっ、お兄さんっ!!」
「ああっ!!」
互いに二人は声を掛け合い、
それを視認する
「!」
全長一キロメートルは越える
その
しかし次の瞬間、尾を回避した二人の視界に
それと同時に、二人の真上から膨大な
「ウワァッ!!」
「グァア……ッ!!」
二人はその電撃に直撃し、互いに短い絶叫を上げる。
そして互いに纏う魔力と炎が打ち消され、焼け焦げた二人はその場から落下し始めた。
すると電撃で麻痺した身体と意識を五秒程の間で戻した二人は、顔を上げ再び魔力と炎を纏いながら空中に踏み止まる。
「……ッ!!」
「……こ、この電撃は……エアハルト殿と同じ……っ!?」
互いに自己治癒を行いながら焼け焦げた身体を癒す中、ユグナリスは自分の纏った
それは三年前、共に戦ったエアハルトが自分自身の肉体から放つ電撃であり、
すると二人は改めて真上を見上げ、
そこには真竜の巨体だけではなく、暴風が吹き荒れる中で暗雲が幾つも存在し、そこから雷鳴が響き渡っているのが聞こえた。
それを見上げる二人に対して、
『――……ほっほっほっ。どうしたんじゃ、足を止めて』
「ログウェル……ッ!!」
『
「くっそぉ、これじゃあ近付けないや。どうしよう」
彼自身は龍の
そうして次の一手を思考する二人だったが、それを待たずに次の事態が引き起こされる。
それは暴風に紛れるように、二人の身体を濡らす鋭い豪雨が
それを浴び始める二人は、肌に当たる雨に気付いて呟く。
「……雨?」
「……あっ、赤いお兄さんっ!!」
「!?」
雨粒の発生を確認した二人の中に起きた異変に、真っ先にマギルスが気付く。
それは『
その影響で肉体が戻り浮遊するだけの『
「ほ、『
「もう、しょうがないなぁっ!!」
纏う『生命の火』が小さくなり落下していくユグナリスを見たマギルスは、呆れに近い声を見せながら向かう。
しかし次の瞬間、自身の足に纏わせている
『――……ヒヒィイインッ!!』
「うわっ、どうし――……まさかっ!?」
叫ぶように異常を訴える
それは雨を浴びた
ユグナリスの『
それ等が強制的に消失させられていることで、マギルスはようやく自分達の浴びている
「この雨が、僕の魔力と
『ヒヒィン……』
「ま、まず――……っ!!」
互いに飛行する為に必要とする
それを見下ろす
『儂の操る
「く、クソ……このままじゃ……!!」
「
そうして成す術も無く落下していく二人は、遠くへ離れる
しかし次の瞬間、消え掛かる二人の
『――……リィインッ!!』
『ヒヒィンッ!!』
「え――……う、うわっ!?」
「な、なんだ……!?」
別々の位置と高さで落下していた二人だったが、突如として鳴り叫ぶ
やや上側を落下しているマギルスが落下速度を速め、逆にその下で落ち続けているユグナリスは落ちる身体の速さを緩めた。
すると二人は徐々に近付き、互いの持つ
更に二人の身体間近に迫ると、青い
「こ、これは……!?」
「……僕達の、
「う、わ――……」
次の瞬間、『赤』と『青』の
それを見下ろしながら確認していた
『……ほっほっほっ。これじゃから、若者達の成長を見るのは飽きん』
何が起きたかを察しているような
そして紫色の
それは二十代程の青年のように見えながらも、異色とも言える紫色の髪を持ち、更に紫色に見える炎を纏わせている。
するとその青年は瞼を開き、自身の両手を広げ見ながら呟いた。
「……な、なんだ……コレ……」
『――……何これっ!?』
「うわっ!?」
紫色の青年は何が起こったのか自分自身でも把握していないようで、自分の手や腕、更に足を見ながら困惑した表情を浮かべている。
すると自身の
「な、なんだ……!?」
『……この声。もしかして、赤いお兄さん?』
「……その声、まさかマギルス殿か。……でも、なんで……!?」
『うーん、なんだろコレ。……あっ、もしかして……僕達、合体してる?』
「えっ」
『僕等の
「……えっ、えぇっ!?」
それと相反するように驚愕するユグナリスは、改めて自分自身の視線から
二人は自分達が身に付けていた服すらも混ぜたような
更に二人が身に付けていた
そうして驚愕を
『……お兄さんお兄さん。僕達、ちゃんと浮いてる!』
「えっ。……あっ、ほんとだ」
『この雨を浴びても浮いてるってことは、この姿なら効かないのかな?』
「で、でも……どうして……?」
『そんなの分かんないけど、
「……!」
二人の精神と肉体は同じ方向に視線を向け、上空に浮かぶ
それをただ見守るように見つめる
『ほっほっほっ。――……その姿でどれだけ戦えるか、儂に見せてみい』
「……ああ、良いさ。……よく分からないけど、これで戦えるなら!」
『やってやるもんねっ!!』
挑発する
そして降り注ぐ
更に
しかしそれに直撃したにも関わらず、逆に電撃すらも蒸発させた紫色の炎は、瞬く間に
こうして
それは彼等に、
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