母子の戯れ
アズマ国内に赴いたケイルは、『白』の
そして『黒』の未来視とは真逆にメディアの過去を視ることが出来た
それが事態の解決に繋がる可能性を考えたケイルは、
その行動を阻もうとした
更にシルエスカも加わり、一転した状況においてケイル達は相対しながら『
しかしその対峙は、再び出現した映像によって阻まれてしまう。
そこに映し出されていたのは、
「――……ほらほら、どうしたの。元気が無くなってきたね?」
「……ハァ……。……ハァ……ッ!!」
メディアは微笑みを向けながらそう呼び掛け、その先で膝を地面に着けるアルトリアへ声を向ける。
そして荒い息を零しながらアルトリアは立ち上がり、僅かに身体を揺らしながらも踏み止まるように地面へ足を踏み締めた。
するとメディアは拍手するように両手を重ね、立ち上がったアルトリアに声を向ける。
「おー、
「……馬鹿に、してるの……!?」
「そんなつもりは無いよ。ほら、君が初めて立った時はもう居なかったから。こんな感じで立ったのかなと思って、褒めてあげただけさ」
「……ッ!!」
挑発にしか思えぬ言葉を向けるメディアに対して、アルトリアは呼吸を整えながら再び自分の肉体に魔力を集めて生命力へ置き換える。
そして自分の肉体に生じた小さな傷を瞬く間に癒すと、再び
しかしメディアは結界を張って防御する様子すら見せず、襲来する
「『
「なっ!? ――……『
メディアは短くそう言葉を発すると、向かって来る全ての
それが古代魔法である
それによって向かって来た
「おー、偉い偉い。ちゃんと
「……ッ!!」
「そろそろ、
メディアは平然とした様子で、余裕の態度と様子を見せ続ける。
それと対峙せざるを得ないアルトリアは、メディアの持つ
しかしそれでも諦める様子を見せないアルトリアは
「ァアアッ!!」
「あー、ダメダメ。今そういうのは――……」
「!?」
「ほら、こうなっちゃうから」
薙いだ
夥しい生命力で寝られた
そして満足そうに
「そういうのは効かないって、さっきので理解してくれたと思ったんだけど。遊ぶにしたって、もっと考えてやってくれないとさ」
「……遊び、ですって……!?」
「あら。もしかして、今がまさに本気だったりする?」
「……ッ!!」
「なんだ、てっきり親子の戯れ程度で遊んでくれてるのかと思ったんだけど。……それが君の限界なんだね、アルトリア」
自身の本領を特に見せていないメディアは、既に全力で掛かってきているアルトリアを理解して落胆した面持ちを浮かべる。
しかしその言葉を嫌うかのように、アルトリア自身は背負う六枚羽の翼を広げ、上空に飛翔しながら真下に向けて両手を翳した。
すると先程と同じように周囲の魔力を肉体に掻き集め、自身の両手に膨大な生命力を作り出し始める。
それを見たメディアは呆れるような視線を向け、溜息を漏らしながら呟いた。
「それは効かないって、さっきも言ったでしょ?」
「……知ってるわよ、そんなのっ!!」
見上げているメディアの口の動きを察したのか、アルトリアは苦々しい面持ちを浮かべる。
その言葉とは裏腹に、先程と同じ
それは再び動き出す
しかし次の瞬間、メディアの真横に転移して来たアルトリアは集めた魔力と
そうしたアルトリアの工夫を見破るように、既にメディアはその位置へ視線と微笑みを浮かべている。
「駄目だよ、アルトリア」
「ッ!?」
「
不意打ちを見破り微笑むメディアは、既に振り抜いていた右脚をアルトリアの左腕へ激突させる。
すると左腕と左胸の骨が複雑に折れ砕ける音がその場に響き渡り、アルトリアはその場から吹き飛ばされながら再び木々を破壊していった。
そうして木々が薙ぎ倒される音が終わった後、メディアはその場から瞬時に転移する。
更に吹き飛ばされて左腕が複雑に折れ曲がり地面へ横たわるアルトリアを見ながら、溜息と共に声を発した。
「はぁ。――……ごめんね、アルトリア」
「……ッ!?」
「まさか君が、こんなに弱いなんて思わなかったんだ。本当にごめん」
「……なに……を……っ!!」
「だって君なら、もっと強くなれると思ってたんだ。それを期待して、私の欠片も分けてあげたんだし」
「……!?」
「でも、しょうがないのかな。これが人間という種族の限界なんだろうから」
そうした言葉を向けるメディアに、アルトリアは驚愕の表情を浮かべる。
そして折れ曲がった左腕を治癒しながら右手で上体を起こすと、青い瞳を向けながらメディアに問い掛けた。
「……私に、欠片を分けた……!?」
「ん? あぁ、それも気付いてなかったんだ。ごめんごめん、もう自覚してるものかと思ってたけど、そうじゃないんだね」
「……!?」
「君の持ってる
「……え?」
「君が生まれた時、君に
「……何を、言って……」
そう告げるメディアの言葉に、アルトリアは動揺した面持ちを浮かべる。
すると右手を翳し向けたメディアに反応するように、アルトリアの額に白い
その光に気付いたアルトリアは、自身の額に触れながらようやくその意味を理解する。
「……まさか、コレは……」
「そう。君に
「!?」
「君は
「……じゃあ、さっきの話は……」
「
「……!!」
「言わば、君の
「……なんで、そんな……」
「強い欠片同士が融合すれば、より強い
「……!!」
「私一人で
然も当然に微笑み話すメディアに、アルトリアは絶句した面持ちを向ける。
それは
メディアはそれを話した後、アルトリアの額に浮かぶ紋章に指を向けながら話を続ける。
「その
「ッ!!」
「それと同時に、君からは
「……」
「何の
「……ク……ッ!!」
アルトリアは治癒させた左腕でも自身の上体を支え、両手を地面に着きながら立ち上がる。
それを見るメディアは、首を傾げながら問い掛けた。
「あら、まだ戦う気? 私が逆立ちしたって、君には勝てないよ。なんなら、実際にやってあげようか?」
「……ふざけんじゃ、ないわよ……っ!!」
「?」
「
「えぇ、貸したモノを返してもらうだけなのに?」
「それに、この
「うん。だから君に、
「!」
「私を倒して私の
「……まだ、これからよ……!!」
アルトリアの実力を完全に見切ったメディアは、そうした侮りの言葉を向ける。
しかし再び自分自身の
すると次の瞬間、周囲に存在する木々の根や枝葉が伸びながら、メディアに一斉に襲い掛かる。
それはウォーリスが行っていた
しかしメディアを覆った木々は、次の瞬間に一斉に砕かれる。
それは右手を動かしたメディアが、邪魔な木々を払い除ける程度の動作だった。
「……あら?」
しかしその時、アルトリアの姿が目の前から消えている。
するとメディアは周囲を見回し、微笑みを浮かべながら呟いた。
「なるほど、今度はかくれんぼでもしたいのかな。いいよ、お母さんが遊んであげる」
「――……ッ」
気配と完全に
それはアルトリアにとって、圧倒的実力差を誇るメディアを相手にした時間稼ぎだった。
そうして
それは現状の人類において最も強いはずのアルトリアが、メディアにとって
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