天地の立合
アズマ国の実力者達に救援を求めに来たケイルとクビアは、そこで『茶』の
そんな彼等に仕えられる『
それに反対する周囲を他所に、
するとその姿は青年の年頃に見えながらも、各国では見られない銀髪銀瞳という奇妙な容姿だった。
更にクビアが告げた
「……そういや、『
少し前に出会った『白』の話を思い出したケイルは、そこに居る
そして改めて
「
「どうか御戻りを!」
「
「これも帝様の為であれば、
「ぐっ!?」
立ち塞がる『雨』と『雲』の当主達に対して、
それに抵抗することも出来ずに
それを見ていたケイルは、今までの話を聞いた中で静観に留まる
「師匠!
「――……
「えっ」
「
「……それじゃあ、
「そうだ。しかしそれが至難だからこそ、
「どうして、そんな事が……」
ケイルは
しかし
すると
「
「……逆?」
「『黒』は未来を見通す瞳を持つが、『
「!?」
「だからこそ、
「……!!」
「だからこそ、
「……世界に忘れられた者の為にって、まさか……!?」
それを聞いたケイルは押し戻されている
「……クビア、それにシルエスカ。お前等に頼みがある」
「?」
「なんだ?」
「
「えっ」
「……どういう事だ?」
小さな声で頼むケイルの言葉を聞き、二人は互いに驚きを浮かべる。
するとケイルは、その言葉の意味を改めて伝えた。
「
「……周りが、それを邪魔するか」
「シルエスカ。アタシと一緒にあの人達を抑えて、クビアは
「ちょっ、ちょっとぉ……そんな事したらぁ……!?」
「アズマ国全体を敵に回すだろうな。……それが嫌なら、シルエスカは何もしないでくれ。アタシとクビアだけでもやるから」
「わぁ、私は協力しなきゃいけないのねぇ……」
「転移を使えるのはお前だけなんだから、当たり前だろ」
ケイルはそうした頼みを向けながら、その返事を聞く前に正座から立ち上がる。
するとそれに反応した、立ち上がらず静観していた『星』の当主も同じように立ち上がりながら左腰に携える刀の柄に手を掛けた。
そしてそうした動きの他の当主達も気付き、ほぼ全員がケイルを注視すると、対峙するように構える『星』の当主が呼び掛けた。
「――……何のつもりだ?」
「……
「それを我等が許すともで?」
「思わないさ」
「ならば、どうする?」
「……
ケイルは自身の決意を見せながら、その場から跳び出すように前へ走る。
それを見た『星』の当主はケイルの
ケイルはその間に『無我の境地』へ瞬時に至り、無手のまま斬撃を飛び避ける。
そして回転しながら跳躍した
しかしケイルが足を天井から離す前に、別の者に両腕を掴まれながら拘束される。
それは
「
「
あの瞬間に追い付き天井へ両足を着けた
更にケイルの両腕を後ろ手に拘束しながら、身体の正面を畳に叩き着けた。
それと同時に両足を絡めてケイルの手足を拘束した
「お前は、自分が何をしようとしているか分かっているのか……!?」
「……分かってます、そんなの……!」
「ならっ!!」
「……今、
「ッ!!」
たった一人でメディアと対峙する為に
すると踏み止まらせようとする
更に両手を畳に付けて両足を振り放ち、再び拘束しようとする
しかし次の瞬間、そのケイルに凄まじい数の気力斬撃が飛び交う。
ケイルは再び『無我の境地』へ瞬時に至ると、それを飛び避け自身の両手と両足に
そして
「……師匠……っ」
「――……
斬撃を放ったのは、ケイルの師匠である『月影流』の当主である
そして『星』の当主の前に
すると改めて、二人は暴挙に出たケイルに呼び掛ける。
「冷静になれ、
「自分が何をしているか、本当に分かっているか?」
「……分かっています。……だからこそ、アタシはあの
「
「すいません、師匠。それに
「……ッ」
自分の意思を見せる
そうした三人の姿を、各当主達やシルエスカ達は各々に見つめる。
するとその時、その場に居る一人が笑いを浮かべた声を発した。
「――……カッカッカッ!」
「!」
「……親父殿……!?」
相対する者達の沈黙を破ったのは、今までこの場の事態を静観し続けていた『茶』の
それを聞いた者達はナニガシに注目すると、彼は息子である
「
「!?」
「それに引き換え、お主等の弟子はこの短期間で成長しておるなぁ。自分の心に従い、その身を動けるようにもなっている」
「……!!」
「
そうした声を向けたナニガシに対して、
しかしその言葉の意味を理解するように、
そして互いにケイルへ向けていた構えを解き、逆にケイルと相対そうとする各当主達に相対するような姿勢を向ける。
「!!」
「
「……そう、年甲斐もなく迷っておったわ。……だがこれで、決心も付いた」
『星』の当主と向かい合う
すると
それを見た『雲』の当主は、鋭い眼光を向けながら
「
「……私が仕えると決めた方は、この世でただ一人。そしてその方の娘として愛すると決めた者も、ただ一人だけ」
「師匠……
アズマ国に属している
それを見たケイルは驚きながらも喜びの感情を僅かに浮かべ、自分に味方してくれる
するとその
「――……彼等の客人として、私も加勢させて貰うが。構わないな? ケイル」
「シルエスカ……!」
「これで、数的にはこちらが有利になったはずだが。……何ならこの結界を解いて、
「……ッ」
『白』の
そしてクビアに転移魔術を使わせる為に結界を解くよう挑発するシルエスカに、各当主達は苦々しい面持ちを強めた。
そうした一触即発の状況を見せる中、再び
「!?」
『――……ほらほら、どうしたの。元気が無くなってきたね?』
『……ハァ……。……ハァ……ッ!!』
「アリア……!?」
再び自分達の前に出現した映像には、銀髪紅眼のメディアが映し出される。
しかもメディアと相対するのは、その色合いとは対照的な金髪碧眼を持つ
その
それは今まさに、
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