男達の決闘
マナの
しかし膠着した状況に現れたのは、ウォーリスと同じくマナの
生成したマナの実を用いて復活した身体を得たアルトリアは、対峙する二人を見ながら声を向けた。
「――……ウォーリス、悪足掻きをまだ続ける気?」
「……ッ」
「アンタの
「……
「だから今回は逃げて、またやり直そうって? ……もう一度アンタの茶番に付き合う気なんて、私には無いわよ」
しかしそんな二人の言動を見ていたエリクは、アルトリアに鋭いを向けながら決意の声を向けた。
「アリア、待て」
「エリク?」
「奴は、俺が倒す。君は手を出すな」
「!!」
突如として聞かされるエリクの言葉に、アルトリアだけではなくウォーリスも驚きの表情を浮かべる。
しかしその真意を理解できなかったアルトリアは、敢えて訝し気な表情を向けながらエリクに問い掛けた。
「どういうつもり? エリク」
「……」
「
「分かっている。……だが俺は、奴と戦わなければならない」
「どうしてよ?」
「……それが俺の、俺達の戦いだからだ」
「!」
エリクはそうした言葉を向けながら、ウォーリスを鋭い眼光で向ける。
それに応えるように青い瞳を向けたウォーリスは、僅かにその目を見開きながら鋭い視線を返した。
エリクが語る『俺達』という言葉が向かい合う二人である事を理解したアルトリアは、瞼を閉じて表情を
しかし呆れるような溜息を漏らしながら、エリクのその言葉に対して返答を伝えた。
「はぁ……。……分かったわよ。貴方の気が済むようにしなさい」
「ああ」
「でも、一つだけ言っておくわ。――……そんな奴に負けたら、許さないわよ」
「ああ」
そう言いながら腕を組んだアルトリアに、エリクは真剣な表情で応える。
しかし二人の会話を聞いていたウォーリスは、逆に困惑した表情と声色をアルトリアへ向けた。
「私に慈悲でも与えたつもりか?」
「勘違いするんじゃないわよ。エリクが負けたら、次は私が相手をしてあげる。……まぁ、負けたらの話だけど」
「……随分と自信があるようだが。例え鬼神の
「それはどうかしら?」
「……あの男が私に勝てると思っているのか。その根拠のない自信、何処から来ている?」
「決まってるじゃない。エリクは、私が認めた
「!」
「アンタみたいな軟弱な奴に、私の
「……それを信じるとでも?」
「信じられないなら、
「!」
アルトリアは自らそうした提案を向けると、目の前に右手を向ける。
すると人差し指から光の粒子が溢れ出し、それで虚空に文字を書き始めた。
そこで書かれた文字には、先程のアルトリアが述べた提案がそのまま書き込まれる。
すると留められた文字がアルトリアの肉体へ吸収され、その身に刻まれるように『制約』が施された事をウォーリスは動揺した面持ちで確認した。
「これで『誓約』は成された。アンタが勝ったら、私は今後アンタ達に手を出さない。ついでに大事にしてる
「……正気なのか?」
「アンタよりもね。……でもそれは、エリクの申し出にアンタが応えたらの話になるけど」
「……」
自らが施した制約の内容を伝えるアルトリアに、ウォーリスは信じ難い表情を向ける。
そして睨み見るエリクに視線を向けると、大きな息を一つだけ吐き出しながら返答を告げた。
「……いいだろう。お前達の提案、受けよう」
「だ、そうよ。エリク」
「……ああ」
ウォーリスは二人が申し出た言葉に応え、エリクと戦う事を受け入れる。
すると右手で抱えていた
そして三メートル程の
互いに持つ
「――……勝負、開始よっ!!」
「ッ!!」
「オォオッ!!」
アルトリアの言葉が戦いの始まりとなり、二人は凄まじい速度と勢いで踏み込み剣を振る。
それが衝突しながら地面を削り割るような衝撃が響き、二人が発する
更にその内部で発せられる怒号のような剣戟が響き、それ等が大気すら破裂させる音を発し始める。
その衝突がマナの
「まったく、男って馬鹿ばっかりよね。……アンタもそう思うでしょ?」
アルトリアは歩み寄りながら屈んでそうした言葉を向けたのは、倒れている
彼女はその中で見ているであろう『
そんな折、アルトリアの視界に倒れている者達の姿が映る。
マギルスを始めとしてユグナリスや『青』達が戦闘不能になっている姿を確認すると、再び深い溜息を吐き出しながら呟いた。
「はぁ、世話が焼けるわね。ここにいる男共は……」
そう言いながら負傷している者達を見るアルトリアは、ただ視線を向けるだけで治癒の光を降り注がせる。
何の動作も無く行われる
そして自らの肉体から赤い光を向け放つと、それをユグナリスに取り込ませるように注ぎ込んだ。
「アンタの身体なんだから、アンタを
冷たい表情を言葉を向けながらそうした言葉を漏らした後、
そして二人の後を追い、その結末を見届けようとしていた。
こうして
それを提案したアルトリアは、自らが始めた旅の果てに続いた彼等の決着を見届けようとしていた。
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