導かれし者達
そうした中で原因となっているマナの
互いの周囲に投影され展開されている
それは奇しくも、敵対していたアリアとウォーリスが協力して事態を止めようとしていることを現してもいた。
「――……
「こちらも駄目だ。そもそもこの大陸そのものが、
「不可能でもやるのよっ!!」
二人は背中合わせに
しかし浮遊している大陸全てが
それでも抗うように、アリアは映像を確認し
「
「恐らくお前が、不完全な
「はぁっ!?」
「マナの
「なら、私でも……!」
「だが止められていた
「!」
「これを止めるには、
ウォーリスは事態を止める為に今現在の状況から本質を掴み、解決策を導き出す。
それを聞いたアリアは更に険しい表情を浮かべながら、
「無理を言うわ……! 今の
「お前は、
「違うわよ! アンタが
「本物……? どういうことだ」
「
「一つの魂を分裂させた……!? ……なるほど。通りで監視していた
「そういうことよ」
「ならば本物の魂に、分けられたお前の魂が戻れば。
「その場合、私の意識は本物に取り込まれる。そうなれば融合した記憶の混濁によって、本物が正常な意識を保てる可能性は低いわ。……仮に正気を保てたとしても、
「だが、他に方法が無い。
目の前に居るアリアと
しかしその方法はアリアが本意できる内容ではなく、事態を解決する為の最短の策だと認めながらも実行するのを渋る様子を見せた。
「それは、嫌よっ」
「なに?」
「
「自分を、取り戻す……?」
「私と
「!」
自分の記憶を投影し複数ほど映し出したアリアは、ウォーリスに隠していた事を明かす。
それは
そこにはウォーリスが知る現在とは異なる、別世界の自分が映し出される。
更に別世界で殺されたアルトリアを死霊術で仲間に引き入れ、共に共謀する光景が見えた事で困惑した面持ちを浮かべた。
「……この
「本来の……いや。別世界のアンタって言えば、分かるかしらね」
「別世界?」
「本来、辿るべきはずだった未来の
「『黒』が、未来を変えただと? ……そうか、そしてその未来を覚えている者達がいたのか。お前のように」
「そうよ」
「あのミネルヴァも、私を
「そういう事よ。アンタは別世界の出来事として、私を仲間に引き入れた。その目的は、子供を出産して死んだリエスティアの肉体に適合できる、死んだ私の魂を得る為だった」
「!」
「生者の魂が、死んだ肉体に結び付くことは無い。だからアンタは帝国の皇族達を殺して、私が殺されるよう帝国勢力を唆した。そして死んでる
「……なるほど。別世界の私は……いや、恐らくゲルガルドか。奴はそんな行動をしたのか」
「その間にアンタは、私を死霊術で操られていたフリをさせながら裏工作を頼んだ。アンタの計画を阻める可能性がある『青』と彼が興した魔導国を奪い取り、その地下に存在していた
「……充満する死者の怨念によって、世界を滅ぼそうとしたのか」
「ええ。……でも結局、その計画は失敗した。
別の未来で起きた出来事を伝えるアリアの言葉を聞き、ウォーリスは今まで起きていた不測の事態がどういう原因で起きていたのかを悟る。
『
だからこそ今まで抱いていた疑問が晴れると同時に、それを仕組んだであろう『黒』に対して呆れるような言葉を零す。
「……『黒』が私を止める為に、今までの事を仕組んでいたというわけか。……だとすれば、色々と納得も出来る」
「どうかしら。『
「……そうだろうな。……だが、だからこそ。『黒』はこの状況を作りたかったのだろう」
「!」
「皮肉にも、私とお前がこうして向かい合っている状況。それこそが、『黒』が導こうとした未来だとしたら。……本当の意味で
「……そんな、まさか……」
「『黒』ならば、その程度の事はやるだろう。……そしてその可能性が、目の前に存在している」
「!」
そう語りながら告げるウォーリスは、
するとそこには、ある二人の人物が映し出された。
それはマナの
更にもう一人、地面へ寝かされながら意識を失っている
「エリク……! それに、
「お前と私が用意した切り札が、この場で二つも揃っている。……それを利用すれば、この事態を止められるかもしれない」
「……何か策があるって言うの?」
「ああ」
「なら、どうする気よ?」
「それは――……」
ウォーリスはこの状況で揃っている
それを聞かされたアリアは驚愕を浮かべながらも、渋い表情を浮かべながら頷く様子を見せた。
こうして共闘し始めたアリアとウォーリスは、
それは奇しくも、『黒』という存在によって導かれた同じ才能を持つ二人が、初めて手を取り合った為に叶えた光景でもあった。
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