邂逅の瞬間
『黒』の精神を宿すリエスティアが意図的に起こした行動が発端となり、幼少期の少女アルトリアは
その光景を見るウォーリスとアルフレッドは、
魔法とは異なる
リエスティアよりも幼く見える
『――……アルフレッド。私が考えている事が、分かるか?』
『え?』
『分からないか。……あの少女の
『……まさか、あの少女を?』
『今は無理かもしれない。だが将来、あのが
『……確かに』
『リエスティアはあの少女を、運命を変える者だと言っていた。そして、それを導くとも。……あの
そしてその思考は、
しかしその思考を止めさせたのは、
彼女の父親であるローゼン公クラウスが、
しかしそれに反発するように、
そして
それに耐えるウォーリスは、
すると
それを
『リエスティア……ッ!?』
驚きを漏らすウォーリスの小声は、
そして案の定、
『クロエッ!?』
それも見ていたウォーリスとアルフレッドの二人は、予想もしなかったリエスティアの行動に驚愕と疑問を口から漏らしていた。
『何故、あのような……!?』
『リエスティア、お前は何を……ッ!!』
二人はその場から飛び出し、倒れるリエスティアに駆け寄ろうとする。
しかし二人の動きを止めたのは、倒れながらも自分達の方へ黒い瞳を向けていたリエスティアの視線だった。
二人はその黒い瞳に驚きながら踏み込ませた足を止め、その場に留まる。
それを確認したクロエは口元を僅かに微笑ませると、安否を気にして呼び掛ける
『クロエッ!!』
『――……アリス……』
『なんで、なんで……!?』
『……友達、だから……っ』
『!』
微笑みながら話すリエスティアが痛みで意識を途絶えると、
そして必死に視線を動かしながらリエスティアの状態を確認し、幼い両手をリエスティアの身体に重ね向けた。
すると次の瞬間、二人の身体が白い光に包まれる。
それを見たウォーリスとアルフレッドは驚愕を浮かべ、何が起こっているのか分からずに互いの疑問を呟いた。
『馬鹿な……! リエスティアには、魔法が効かないはず……!』
『では、アレは……?』
『魔力を用いた魔法じゃない……。……まさか、
『自分の
『それが出来るのなら、私がとっくにやっている』
『!』
『他者の
ウォーリスはそうした事を口にしながら、自身の
しかしその結果と相反するように、アルトリアの
それを確認する二人は、更なる驚愕の表情を見せながら呟く。
『……ならばアレは、あの少女とリエスティア様の生命力が適合しているということですか……?』
『馬鹿な……。何故、彼女達の
『……血の繋がり以上のモノが、彼女達には存在する……?』
『血縁以上の、関係――……っ!!』
アルフレッドが漏らした言葉を聞き、ウォーリスは無意識にゲルガルドと話していた『黒』の
『黒』は『
しかし『黒』の肉体にも制約が課せられており、『
その答えが今まさに目の前に在る光景であると、リエスティアを癒す
『……まさか、あの少女は……!』
その答えを自らの口に出す前に、二人の少女を纏っていた白い光が消える。
そしてリエスティアの傷は全て癒し終えられ、それを確認した
しかしウォーリスとアルフレッドだけは、この状況で何をすべきかを真っ先に悟った。
『……このまま放置すれば、リエスティアも連れて行かれかねない。アルフレッド、リエスティアを
『分かりました』
気を失っているリエスティアを回収する事を決意する二人は、踏み込める状況を観察する。
すると
それに合わせるように、ウォーリスとアルフレッドも共にリエスティアへ駆け寄る。
そして倒れるリエスティアをアルフレッドに抱えさせると、自分達を見る
『――……君達は?』
『この子の家族です。はぐれてしまったこの子を探していたのですが、いったい何が?』
『……私も、よくは分からない。……君達の娘にも、迷惑を掛けてしまったようだ。君達の名は?』
『名乗る程の者ではありません。……我々も、御嬢様を診させて頂きますので。それでは』
『あ、ああ』
ウォーリスとアルフレッドは交互に言葉を交え、
驚愕の事態にそれを見送る事しか出来なかったクラウスは、そのまま
アルフレッドの抱えるリエスティアに自身の上着を掛けたウォーリスは、この混乱に乗じて
そしてリエスティアの目覚めを待つ為に、市民街の民宿へと戻ったのだった。
こうして少女達の出会いが終わり、邂逅した娘の父親達も別れる。
僅かな時間の出会いと別れを果たした彼等だったが、それが
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