破壊の技術
神殿内で失われたはずの『マナの樹』を発見したアルトリアとウォーリスだったが、その途上にてある変化が見え始める。
それは
ウォーリスはその状況を鑑みて、
そしてアルトリアから抜き取った心臓に
そうした
神殿の外周にて行われている戦闘において、その一箇所に視点は移った。
それはウォーリス達が
そこから出現する
「――……ぬぅっ!!」
「ハァッ!!」
二人は互いの
その周囲から狙うように押し寄せる黒い人形達に対して、
更に元
しかし三十分以上も続く戦闘は、生身を持つ者達に確実な疲弊を蓄積させている。
人形の動きや性能自体は極めて単純であり、数で押し寄せても実力の有る聖人や魔人であれば退ける事は出来る。
しかし
それは機械の
対する
「これは、埒が明かぬな……」
「……このまま戦い続けたとしても、私の勝利は揺るがない」
「!」
「お前達の疲弊を待ち、動きが鈍った
余裕を抱くアルフレッドは、そう告げながら再び両手と両腕を前方に突き出しながら身構える。
そして両腕の射出口を開け放ち、そこから巨大な
「ッ!!」
それを大きく右側へ跳び避ける
すると
更に
そこから発生させた電撃を放ち、
逃げ場を失くしながら電撃を浴びせるアルフレッドの攻めに対して、
しかし動けなくなった
「誇りを奪われて死ぬがいい、アズマの
「なにっ!?」
そうした言葉を向けるアルフレッドの左手の平に、ある物が出現する。
それは
逆に
迎撃や受け流しも出来なくなった状態に陥った
しかし次の瞬間、投げ放たれた一つの小刀が雷撃を受け止めるように防ぐ。
その僅かな時間に
すると
それを迎撃する為に電撃を解いたアルフレッドは掴んでいた長刀を放り投げ、左手の甲から
ひとまず難を逃れた
二人は視線や顔こそ合わせなかったが、互いの現状を認識するように言葉を向け合った。
「どういう
「恐らく、『転移』なる術でしょう」
「
「刀ではなく臓物を奪わぬということは、何かしらの
「なるほど。しかしあの
「ならば奴の相手は、私が務めましょう」
「分かった。儂の刀を頼む」
「はい」
するとアルフレッドに襲い掛かっていた
それを右手で難なく掴み取った
逆に今まで影分身や援護に徹していた
「チッ」
襲って来る影分身を迎撃していたアルフレッドは、
そして周囲の影分身を退ける為に、右手を白い大地へ向けながら電撃を放った。
「!」
それにより
それでも
しかし
その自信によって僅かな侮りを向けるアルフレッドは、電撃を蓄えた右手を
「そんな
しかし侮っていたアルフレッドの表情に、僅かな驚きが浮かび上がる。
アルフレッドがそれ等を迎撃する間も無く、周囲に撒き放たれた紙札が突如として爆発を起こす。
しかし紙札から発せられる爆発の衝撃程度では、アルフレッドの
その自信を持つアルフレッドは揺るがぬ意思で回避しなかったが、爆発によって起きた黒い煙が周囲の視界を塞いだ。
「!」
周囲を覆いながら降り注がれる黒煙に、アルフレッドの視界は極端なまでに狭まる。
そして
しかしその逆側を突くように、黒煙の中から
そしてアルフレッドに対して気力を纏った小刀での攻撃を行おうとした。
しかしそれを予測していたのか、アルフレッドは口元を微笑ませて左脚で蹴りを放つ。
それに直撃し小刀を中空に舞わせた
「その程度の陽動は、予測済みだ」
そう告げるアルフレッドは躊躇せずに右手の平から電撃を放ち、襲い掛かって来た
常人であれば丸焦げになる程の強力な電撃を浴びた
しかし次の瞬間、油断したアルフレッドの
それは電撃を受けて丸焦げになった
するとアルフレッドは事態を素早く察し、倒した相手が
「これは、分身――……ッ!!」
「――……人間とは、隙の多い生き物なのですよ」
振り返ろうとしたアルフレッドに対して、その裏側から
そして振り向けようとする
すると次の瞬間、アルフレッドの右肩と右腕が完全に逆方向へ決められる。
更に自身の体重を利用して更に奥へ右腕を傾けた
「なに……ッ!?」
アルフレッドは自らの右腕が破壊された事を瞬時に悟り、驚愕の思考に襲われる。
そして今度は左脚に手を伸ばそうとした
左脚の破壊を免れたアルフレッドだったが、その思考には困惑と動揺が秘かに渦巻く。
そんなアルフレッドに対して、再び影分身を作りながら態勢を整え直した
「何者にも傷付けられぬ
「!」
「だがその
「……
「例えどれだけ強固な
「……ッ!!」
今まで
更にアルフレッドに対して有効なのが斬撃や殴打ではなく、人体破壊の
そして
組技からの関節技という得意技術を駆使した戦い方を魅せる
それに対してアルフレッドは、再び左手の甲部分から
周囲の煙を吹き飛ばすように左腕を振るい、
「クッ!!」
「――……
「!!」
凄まじい速さで煙の範囲外に出たアルフレッドだったが、その右側には既に
そこで右腕が折られた為にその迎撃が僅かに遅れ、左足を軸とした右脚の蹴りで
「なっ!?」
しかし蹴られた
更にアルフレッドを支える左足を払いながら
「グッ!!」
右腕に続いて右脚も
それすらも容易く避ける
するとアルフレッドの左脚に僅かな軋む音が響き、膝部分が逆方向に折れる。
瞬く間に両足を破壊されたアルフレッドは、人工皮膚で驚愕の表情を浮かべながら唖然とした様子で呟いた。
「……馬鹿な……。……私の、完璧な
「完璧なモノなど、この世に存在しませんよ」
そうした言葉を呟きながら地面へ仰向けになるアルフレッドに対して、
こうして
しかし周囲の黒い人形達は止まらず、敵と認識している者達に対して攻撃を続けていた。
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