少女の傷
そして二日目に開かれた
周囲に居る各貴族達の護衛や警備、そしてついに魔法師らしき者達も私の周囲に押し寄せる。
しかし魔力そのものに干渉し操作する私は、空気中の
そして周囲に在る机や椅子、調度品や食器などを巻き込む
重量のある机や椅子が護衛達に直撃し、更に
私は他者を拒み、友達であるクロエオベール以外の者達を攻撃する。
そして自分達に理不尽を強いる周囲の者達に対して、私はこの
そんな時に、騒ぎを察知した
後ろには十数人の護衛兵を連れ、吹き荒れる
『――……アルトリアッ!!』
『……お父様』
『これは……お前は、自分が何をしているか分かっているのかッ!?』
クラウスは周囲の惨状を見渡し、自分の娘が起こした出来事を正確に把握する。
貴族達や会場を護衛していた騎士や魔法師を十数人以上も吹き飛ばし、更に巻き起こす竜巻によって飛び襲う物体が会場を破壊し、周囲に居た人々を巻き込みながら傷付けていた。
私の周囲が多くの怪我人で溢れている状態を見た
『今すぐ、これを
『……嫌よ!』
『!』
『コイツ等は、そしてお父様も、そうやって私達に理不尽を背負わせる……。……もう、アンタの言うことなんか聞くものかッ!!』
『ア、アルトリア……!!』
その時に私が自分の父親に向けたモノは、紛れも無い殺気。
自分を
私の殺気は周囲の
その圧力は瘴気にも似た性質を生み出し、私の周囲に居る者達に息苦しさと眩暈を生じさせた。
『な……ッ』
『い、息が……』
『ぁ、う……』
周囲の者達は唐突に息苦しさと眩暈を感じ、その場に膝を着いて倒れる。
その状況を確認したクラウスもまた自身の息苦しさを感じ、その状態を引き起こしているのが
『アルトリア……。……仕方ない。こうなれば……ッ』
『!』
クラウスは
それを見た私は鋭い殺気を向けながら睨み、白い輝きを纏わせた左手を
その時、その場に伏せながら周囲に起こる状況を見ていたクロエオベールが立ち上がる。
そして腕に抱えて守っていた私の刺繍入りの布生地を落とし、
『――……ッ!?』
『ダ、ダメ――……きゃあっ!!』
『!!』
クロエオベールが抑えて下げようとした左腕には、私が
そんな私の腕や身体は
しかし、クロエオベールは何の防御手段も肉体に施していない。
その結果、
『クロエッ!?』
クロエオベールは重度の火傷を負いながら倒れ、私は驚愕しながら左腕に纏わせた
そして憎悪や憤怒といった感情が全てクロエオベールに対する心配へと変化し、吹き荒れる周囲の竜巻が徐々に消え失せた。
それに続いて息苦しさと眩暈を感じていた者達が、その状態を少しずつ快復させて意識を戻す。
しかしそんな事を気にする暇も無い私は、両重度の火傷を負ったクロエオベールに慌てて声を掛けながら屈んだ。
『クロエッ!!』
『――……アリス……』
『なんで、なんで……!?』
『……友達、だから……っ』
『!』
クロエオベールはそれだけを呟き、息を荒げてながら意識を途絶えさせる。
私はその時、今まで抱いていた憎悪や憤怒が吹き飛び、頭が真っ白にさせた後で必死に考えた。
この
自分自身の治癒は出来るが、他人の傷を治すことは出来るのか。
こんな時、魔導書に書いてあった魔法の知識が役立つんじゃないか。
今まで知り得た知識と、自分の
それは周囲の
言わば魔法を応用して自分の
『――……ッ!!』
『な……』
『な、なんだ……この光は……!?』
その瞬間、私の身体は白い光を放ちながらクロエオベールの身体も光で包み込む。
そして呼吸と共に身体へ流れる
すると
流れ込む私の生命力がその再生力を促し、少しずつクロエオベールの肉体を治癒させていた。
周囲の人々は何が起こっているのか理解できず、ただ光を放つ私達を見ている。
それから数分後、私はクロエオベールの治癒を全て終える。
それを確認した私もまた、自身の生命力を
こうして私は暴走の果てに、自身の
この事件がきっかけとなり、私は魔法を習う際に回復や治癒の魔法を真っ先に習得する。
そして事件の後、その学びを得る機会と出会うことになった。
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