合成魔人
黒い金属に飲まれ分断されたエリクとマギルスは、互いに別々の場所へ辿り着く。
そして場面はマギルスへ移り、
「……うへぇ。これもしかして全部、
マギルスは施設内を歩き、幾千と並び置かれた容器入りの
以前に見た皇国の基地施設以上の数と、それ以上の改造が施され
しかし数分も歩く頃にはその光景にも慣れ、マギルスは周囲も眺めながら施設内を探索する。
そして高い位置にある天井が例の金属である事を知ると、マギルスなりにここに至った経緯を推測した。
「……あそこから、落ちて来たのかな? でも、エリクおじさんは何処だろ?」
マギルスはそう考えながら歩き、エリクが居ないかも探す。
そしてそれらしい姿も無く、施設の駆動音や自分の鳴らす足音以外に音が発せられていない事から、エリクはここに居ないのだと考えた。
その状況で、マギルスはクロエと話した予言を思い出す。
『――……ねぇねぇ』
『ん?』
『僕がおじさんと一緒に行くと、どうなるの?』
『んー……。多分、マギルスは途中まで一緒に行くと思う。でも、やっぱりエリクさんとは別れちゃうだろうね』
『そっかぁ。じゃあ、おじさん死んじゃうのかな?』
『どうだろうね。……少なくとも私が視たエリクさんの未来は、死の可能性が大きい。それを変えられるとすれば……ケイルさん、そしてマギルス。二人が作戦の成功に必要な条件を満たせば、それを回避できるかもしれない』
『!』
『二人が担う役目を終わらせてエリクさんと早く合流できれば、その死を防ぐ事が出来るかもしれない。……私が二人に言えるのは、ここまでかな』
『うーん。エリクおじさん、いつも僕と遊んでくれたし。死んでほしくないなぁ』
『マギルスが頑張ったら、エリクさんは死なないかもね』
『そっかぁ。じゃあ、ちょっと頑張ろうかな!』
以前にクロエが述べた予言が実現し、一緒に居たマギルスとエリクは別れてしまう。
そしてそれが、エリクが死ぬ可能性がある未来となる事も示唆していた。
それを思い出したマギルスは、少し唸りながら考える。
そして自分なりに出した結論として、背負う大鎌を右腕で引き出し構えた。
「――……よし! 施設っぽいのは、全部ぶっ壊しちゃおう! それで、おじさんと合流できたら合流かな!」
思い付いた事を実行するマギルスは、大鎌に青い魔力を溜める。
そして周囲にある設備と容器を、
半径百メートル以内の容器と設備が瞬く間に複数の青い斬撃を浴び、破壊されていく。
笑みを浮かべながら斬っていたマギルスだったが、驚愕する光景が混ざっている事に気付いた。
「――……えっ!?」
マギルスが驚いたのは、切断されていく設備や容器ではない。
切断したつもりだった容器内の
裂けた容器から
そして
「……僕の
マギルスは傷一つ無い
その不気味さも相まってマギルスの勘が今の状態になって初めて警戒を鳴らし、大鎌の柄を握る手の力を強めた。
「……!」
マギルス自身の勘は、次の瞬間に当たっていた事を悟らされる。
容器から出た
それを見たマギルスは大鎌を構え直し、起き上がる
しかし首を狙った大鎌の刃を、
「!?」
「――……ァア……」
それに動揺しながらもマギルスは身を翻し、両足で着地し屈みながら
「……僕の
マギルスは驚きながらも目を凝らし、
三十年前の皇国で作られた
しかし目の前で対峙している
その身体からは魔力が漲るように立ち昇り、その全員が以前に魔人化した赤鬼エリクと同等かそれ以上に魔力を放っている。
それが強化された肉体を更に強め、マギルスの魔力を弾き、大鎌の刃さえ通らない強靭な肉体を維持していた。
「……コイツ等、前に戦った
目を凝らして魔力感知で探ったマギルスは、改めて目の前に居る
そして容器から出て立ち上がった
「……ッ!!」
「――……アアァァアアアアアッ!!」
その瞬間、
その凄まじい放出量は以前に感じた赤鬼状態のエリクと匹敵し、マギルスの震撼を寒からしめた。
それは同時に、マギルスにとって久しく喜びの感情を生み出される。
それは魔人として戦いを欲する本能であり、恐怖と同時に沸き起こる喜びの感情だった。
「――……いいね、いいね! 思いっきり戦える相手だ!」
マギルスは恐怖しながらも喜びを浮かべた笑みで、大鎌を構えながら立ち上がる。
それと同時に解き放たれた
マギルスはこうして、魔導国が作り出した新型
それを窮地と感じながらも喜ぶマギルスは、数十体の
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