第79話 幸太君が女の人と二人きり?!(比奈視点)


 私は学校が終わってすぐに幸太君の家に向かって走っていた。


 濃い色の葉が揺れている生い茂った木々の公園を抜けると、住宅地が見えてくる。


 この後の坂が地味にキツいのだ。



 浅い息を吐きながら、走る。


 

 この道は幸太君の家に、学校帰りに通いだしてから毎日の様に歩いているのにまだ、しんどい。


 もうちょっとだ。


 息が切れる。足が重たくなってきた。


 そう思っていても私は休もうとはしなかった。




 今日、幸太君からメールを貰った。


 実は幸太君からはメールはほとんど貰った事がない。

 いつも私から。


 も、もちろん返事はちゃんと貰えてるんだよ?

 でも、クールというか、素っ気ないのよね。



 やっぱりわたしの片思いなんだよなーと思う。




 

 と、そんな事よりそのメールの内容なんだけどね、いつもクールな内容の幸太君なのに、なんだかすごくらしくなかったんだよね。



 まあ、それもそのはず、今日、どうもホロちゃんが家から抜け出しちゃったらしく、知り合いがたまたま通りかかって保護してくれたとの事だったんだよね。




 幸太君、メールからも慌てっぷりが伝わる程でね。


 なんで分かるか?って?


 誤字脱字の連続だったんだ。


 


 まあ愛の力で私は解読したけどね。



 それで色々聞いていたら、その知り合いはどうも女性らしいのよ。



 ま、まずい。



 も、もしかしてライバル出現?



 しかも私は幸太君よりかなり年下だ。


 幸太君の恋愛対象にも入ってないかもしれない。



 考えていたら勝手に眉間に皺がよりだした。



 と、とにかく邪魔しないと。



 頬に当たる横髪を耳にかけながら私は走っていた。




 私は本当は今日は幸太君の家に行く予定ではなかった。


 今日、学校は創立記念日で奈央と由美子とカラオケボックスに来ていて、そこで幸太君からのメールを受け取ったのだ。





 幸太君のその後のメールに寄るともう、ホロちゃんは届けられているかな?


 じゃー、その女性はもう帰っているかな?


 ま、まさか幸太君の部屋で二人っきりなんて事、ないよね?


 



 不安になってきた私は、必死に足を動かした。



 空はとても綺麗な青空だけど、呑気に見ている場合ではない。


 足が痛くなったって、筋肉痛になったとしても今は走るしかない。



 ハー、後はこの階段を上がるだけかー。



 私は幸太君が住む三階建のマンションを見上げる。


 幸太君の家は二階で良かった。


 私は汗を制汗シートで拭き取り、走った事により少し乱れた制服や髪を整えてゆっくり階段を上がる。


 普段は手すりも持たないで登るけど、気持ちを落ち着かせる為、私は手すりを握ってゆっくりゆっくり階段を登る。



 だけどやっぱり気持ちは焦ってくる。


 段々と足は早足になりいつの間にか幸太君の家の前だった。



 家の中から笑い声が聞こえる。


 幸太君、こんなに笑っている事あったかな?


 幸太君以外の声、女性の声だ。



 私は思わずインターフォンを連打していた。


「先生! 幸太先生、開けて! ホロちゃん、大丈夫なの?」


 ホロちゃんが無事なのは幸太君からのメールで分かっていた。


 だけど、思わず私はそう言ってしまっていた。

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