第7話 運命的な再会?


 しばらく歩くと小さな公園に着いた。


 俺の身体は小さいから、公園全体が見えている訳じゃないけどベンチもあって子供も二、三人居る。


 昔は子供嫌いじゃなかったけど、猫になってからは苦手だった。




 子供は俺の頭をガシガシと混ぜる様に触るんだ。




 俺はヌイグルミじゃない。





 俺はベンチの横に背の低い雑草が茂る地面まで歩き、足をフミフミしながら感触を楽しんだ。





 





 デンに引っ張られながら幸太郎も俺の傍まで来たが、違う方向を見ているようで俺はその目線の方を見た。








「あれ? こんにちは」



 幸太郎が誰かに話しかけている様だった。

 少し声が上ずっている。





 手の平にも力が入っているように見える。

 緊張しているのか?誰だ。







「あっ、えっと井川さん? こんにちは」






 控え目の小さな女性の声。

 その声を聞いた時、俺の心臓は跳ねた。







 聞いたことがある声。








 何回、何千回、何万回と聞いた。











 声の方に顔を向けると……。








 白くて丸い顔で柔らかく笑う、笑顔の可愛い女性。















 雪が居た。





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