第4話 うっとうしいけど憎めない
俺の仕事は昼寝。
うららかな日差し。窓から入ってくる光が心地よい。
お気に入りのクッションに包まれた俺はご満悦である。
2食、昼寝、散歩付き。
中々に優雅な暮らしである。
俺の目は壁の隅に置いてある、おもちゃや猫じゃらしをとらえる。
よし、もうちょっと頭がしっかりしてきたら、あれで運動だ。
しかし、居心地よくなったこの家には天敵が居た。
俺様の眠りや適度な運動を妨げる天敵が。
何かが近寄ってくる気配があったが気づくのが遅れた。
俺の頭を、デカい、ぬるっとしたものが舐めた。
身体中の毛が全て逆立ちするかのように鳥肌が立った俺は、慌てて逃げようとしたが、小さい俺はそいつの腕にバリケードされた。
真っ黒いそいつは、俺が来る前からの、この家の住人。
ゴールデンレトリバーのデンだ。
再び頭や首を舐められる。
おい、お前にはあの部屋の隅にあるお前が噛み過ぎて鼻が取れた、くさい子犬のぬいぐるみがあるだろう?
俺は向こうの、この前、幸太郎が買ってきてくれたネズミのおもちゃで遊ぶんだ。
俺の毛はあっという間にべとべとに濡れる。
抜け出そうと、もがく俺だが大きいあいつには勝てっこない。
「ワン(あそぼう)」
「……」
まあ、悪い奴ではない。
うっとうしいけど。
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