人外専門治療院 ～白日の治癒術師と合成獣の少女～

◆各話あらすじ 8/30更新

　～～第一部～～

◆命題０．合成獣の少女

　魔法道具（ランプ）である白日（ハクジツ）の治癒術師・アダムスは、主（マスター）と共に、とある魔術師の隠れ家を発見する。

　その地下では合成獣（キメラ）を生み出す非人道的な実験が繰り返され、歪な姿に変えられた者たちの、凄惨な光景が広がっていた。

　しかし、アダムスは唯一生き残っていた合成獣（キメラ）を発見する。

◆命題１．弟子　エドアルド・ダールマン

　特定の者しか立ち入ることができない精霊の森で、アダムスは人外専門の治療院を開業した。

　そこに真っ先に訪れたのは、彼の弟子エドアルド・ダールマン。

　久々の再会を喜んでいたのも束の間。彼はアダムスが助け出した合成獣（キメラ）と接触してしまう。

　彼は師であるアダムスが合成獣（キメラ）を助けたことを非難するが…

◆命題２．名もなき旅人

　意識が戻ってきた合成獣（キメラ）の少女は、故郷と家族の事を思い出していた。

　翌朝、アダムスに作ってもらったマントを着て、変わり果てた不自由な身体を動かしつつ、森の中を散策していた。

　そこで、少女とアダムスは人影を発見する。

◆命題３．吸血鬼　テオ

　真夜中に治療院の扉を叩いたのは、確実に死んでいるとわかる女性を抱えた吸血鬼の青年だった。

　狩人（ハンター）に追われ、不老不死の恋人を傷付けられた吸血鬼テオは、人間への憎しみと怨嗟を合成獣（キメラ）の少女にぶつける。

◆命題４．紅蓮の商人　ルヴァノス

　ルヴァノスは、アダムスと同じ主（マスター）に使える魔法道具（ランプ）の一つ。

　アダムスと親友の彼は、早々に合成獣（キメラ）の少女と打ち解ける。

　だが、彼は人ではない。人外――魔法道具である。

◆命題５．蒼空の騎士　ブラウシルト

　傷付いたカーバンクルの群れの世話に奔走する梅雨明けの頃。

　治療院に、アダムスの双子の妹、白月（はくげつ）の治癒術師・イヴリルと、

　ルヴァノスの弟に当たる、蒼空（そうくう）の騎士・ブラウシルトが訪れる。

　一気に賑やかになった治療院だが、彼らの背後には、以前半壊したアダムスの過去が見え隠れする。

◆命題６．碧岩病

　碧岩病（へきがんびょう）。それはかつて、南の大陸にあったヘリオス王国を滅ぼした疫病。

　アダムスが半壊し、心に傷を負うことになった事件。

　ブラウシルトから語られるその過去に、合成獣（キメラ）の少女は耳を傾ける。

◆命題７．黄金の賢者　ソルフレア

　黄金（おうごん）の賢者・ソルフレアは、アダムス達と同じ主（マスター）に使える魔法道具（ランプ）。

　合成獣（キメラ）の少女はソルフレアから文字を習う。

　少女の本名の判明、そして彼女の身体の本格的な治療が始まる。

　～～第二部～～

◆命題８．吸血鬼と石鳥

　どうにか合成獣（キメラ）の少女の手枷を外すことはできた面々だが、施術（しじゅつ）を進めるには、問題が多すぎる。

　みんなで頭を抱える嵐の夜。治療院にとある吸血鬼エインズワースが訪れる。

　彼は、かつて治療院を訪れたテオの名前を出し、長年の傷の治療を請う。

◆命題９．職人　ロメオ・ガリレイ

　合成獣（キメラ）の少女の施術（しじゅつ）を前に、多くの者が集まってきた。

　エドアルド・ダールマンも再訪し、優秀な魔法道具職人ロメオ・ガリレイも参加する。

　だが彼は性格に少々難があり……

◆命題１０．動き出す泉の呪い

　合成獣（キメラ）の少女の足枷を外す施術（しじゅつ）の日程が決まった。

　イヴリルとブラウシルトの到着を待つ中、少女は森の中で迷子の男の子を見つける。

　彼を元の場所に帰すため、一緒に森の中を歩く少女。

　それに、北の泉の呪いが反応する。

◆命題１１．白月の治癒術師　イヴリル　

　足枷を外す施術（しじゅつ）から目覚めた合成獣（キメラ）の少女は、側にいてくれたイヴリルと話をする。

　怖いと思う気持ちや不安を吐露し、彼女との距離が縮まっていく。

　だが、アダムスは施術（しじゅつ）の日、死霊たちに襲われた時に何があったのか、口を閉ざし続けていた。

◆命題１２．白日の治癒術師　アダムス

　精霊の森が死霊たちによって弱っていく中、合成獣（キメラ）の少女の最後の施術（しじゅつ）が目前に迫っていた。

　アダムスと夜の散歩に出かける少女。

　そして施術（しじゅつ）当日、少女を仲間にしようとする死霊たちが、治療院を襲おうとしていた。

◆命題１３．葉緑の吟遊詩人　ヴェルデリュート

　合成獣（キメラ）の少女の最後の施術（しじゅつ）が無事終わり、少女にとって精霊の森で二度目の春が来た。

　目を覚ました少女はアダムスと再会し、喜びを分かち合う。

　その後、葉緑の吟遊詩人・ヴェルデリュートとの対話を経て、とある言葉を伝えるため、少女はアダムスの元へ向かう。

～～第三部～～

◆命題１４．マスター　フィルル・エルピス

　少女が目覚めてから少したった頃。美しく変化した身体を見てアダムスと喜びあっていると、治療院に浮浪者のような男が現れた。

　子狼を連れたその男を、アダムスは主（マスター）、フィルル・エルピスと呼ぶ。

　彼は冬中ずっと北の泉の封印を重ね続け、心身共に疲れ果てていた。

　そんな彼に、少女はある事を問いかけられる。

◆命題１５．黒鉄の戦士　ブロスケルス

　新月の夜の突然の訪問者。それは傷付いて瀕死の吸血鬼テオとその恋人マルテ。そして彼らを追いかける、死霊の戦士だった。

　フィルルの応戦によって捕らえられた死霊の戦士は、ランプの一つ、黒鉄（くろがね）の戦士・ブロスケルスと縁のある者だった。

◆命題１６．新たな治癒術師

　主（マスター）フィルル・エルピスの「君が望めば不老不死にもなれる」という言葉について考える合成獣（キメラ）の少女。

　大きな命題の解を求めて、少女は今までに出会った者たちに意見を聞いていく。