命題8.吸血鬼と石鳥 7

 暖かく、身体が溶けるようなぬくもりに包まれている。まず、それに気付いた。

 まどろみの中にいたステラの意識が、少しずつ動き出す。


 ――何をしていたんだっけ?


 そうだ、石鳥の治療だ。確かエインズワースが口を挟んできて、お金になると騒いでいた。

 アダムスとソルフレアでわいわい盛り上がっているのを眺めながら、ステラはうっかり居眠りをしてしまったのだ。

 記憶を手繰り寄せた瞬間、ぼんやりとした思考が世界の境界をはっきりとさせていく。

 弾けたようにぱちんと目を開き、起き上がろうと寝返りを打つ。横になっているはずの木の床が沈み込み、ステラは驚いた。自室のベッドに寝かされていたのだ。

 顔を上げると、椅子に座ったアダムスが涎を垂らして居眠りをしていた。白銀の髪の一房が顔に被さり、少年が身じろぎをすると、白い煌めきがするりと流れ落ちる。


 少女は呆れたように肩を落とした。きっと寝てしまったステラを心配していたのだろうが、少し大げさすぎると思う気持ちと、気を配ってくれるのを嬉しく思う気持ちが静かに絡まり合った。

 窓の外からは月が覗いていた。夜まで寝てしまったのだろうか。その割には身体が重い。慣れないベッドに寝かされたせいかもしれない。風邪をひいて一日中寝ていた時のような倦怠感と、身体の軋みがステラの動きを鈍らせる。

 喉が渇いている。

 ベッド横に置かれたテーブルの水差しに手を伸ばしたところで、アダムスが目を覚ました。


「ステラ! やっと起きたんだね!」


 飛び上がった少年がステラの脇から抱き着き、二人はベッドに沈み込んだ。

 目を白黒させるステラにお構いなしに、アダムスは声を震わせて続けざまにこう叫んだ。


「心配したんだよ、揺すっても叩いても全然目覚めなくて……。」

「ガゥ!?」

「ステラが起きたのか!」


 ドアが開き、山吹色の長い髪を振り乱したソルフレアが部屋に飛び込んでくる。ステラと目を合わせると、温度の無い表情を少し綻ばせ、すぐに引き結んだ。


「身体におかしいところは無いか? 痛みは? 熱は? 恐らく、長い間眠っていたのは手枷を外したせいだろう。合成獣キメラの身体が、元々人間であるステラの魂に適した形になるよう、変化したと推測している。それで膨大な負荷がかかり、今回のような事が起きたのだと……おい、白日はくじつの治癒術師、いい加減離れろ。」

「だ、だってぇ~……」


 無理矢理引きはがされたアダムスは、端正な顔を涙と鼻水でぐしゃぐしゃに汚してしていた。傾いた白い帽子が頭から零れ落ちる。ステラはテーブルあったタオルでアダムスを顔を拭き、帽子を頭に乗せ直した。

 治癒術師の少年を宥めつつも、ステラはまだ混乱していた。言ってることは理解できたが、心が追い付かない。


「やぁ、ステラ嬢。私がここをつ前に目覚めてくれて嬉しいよ。君にはお礼が言いたかったからね。……それはともかく、服を着るといい。」


 ドアから顔を覗かせたエインズワースが、あっけらかんとした様子で言い放つ。

 いつものマントを着ていない事に気付いたステラは、「ギャン!」と声を上げ、シーツをたくし上げた。



 * * * * * *



 薄い水色のマントを着てやっと落ち着いたステラは、診察室でアダムスに身体を診てもらった。されるがままになっている間に、混乱した頭も落ち着きを取り戻していた。

 そして、診察を終えたアダムスが口を開く。


「うん、とりあえず問題ないかな。手の構造も人間に近くなってるね、獣率の高い獣人みたいな感じだよ。前より動かしやすくなったんじゃない?」

『はい。文字が書きやすくなっています。』

「随分と丁寧に書けるようになっているな。治療の成果が出てなによりだ。」


 薄く微笑むソルフレアに、ステラも笑顔で応える。指は相変わらず四本だし茶色の毛で覆われているが、細かい作業がしやすくなったように感じる。文字を書く速度も上がった。これなら他にもできる事がありそうで、痛い思いをした甲斐があったというものだ。

 和気藹々わきあいあいとしている中、その様子を眺めていたエインズワースがゴホン、と一つ咳払いをした。


「まずはステラ嬢、治療の成功おめでとう。君の身体について、君が眠り姫になっている間に色々と聞かせてもらったよ。おかげで私たちの治療費の目途もついた。ありがとう、皮肉かもしれないがね。」


 彼はステラの前に跪き、人差し指を立てる。


「まず一つ、“吸血鬼の血は、治癒術の代替となる”という情報。テオくんの血は、患部に使用することで治癒術と同等の効果を発揮する。ステラ嬢の施術しじゅつはとても大変だが、治癒術は魔力を膨大に消費するものだ。その代わりになるものがあれば、術者の負担が激減するだろう? 施術しじゅつの成功率も上がるというものさ。そして二つ目。」


 吸血鬼の大男は、二本目の指を立てる。


「ソルフレア嬢がこの五日間で研究した結果、施術しじゅつ中の痛みを失くすことはできないそうだ。どんなに調整しても、軽減させる事はできるらしいが、大した効果は見込めない。しかも手より足、足より首や腹の魔法道具を取り除く方が、苦痛が大きいらしい。」

「すまない、ステラ。どうしても施術しじゅつには強い痛みが伴ってしまう。もちろん、鎮痛薬や治癒術による痛みを取り除く方法もあるが、どうしても大きな魔術的干渉が発生してしまう。魔力量の微細な調整と把握が必要なステラの施術しじゅつでそれをやれば、逆に痛みを増長させかねない。」


 二人の話を聞いたステラは、背筋に冷たいものが走るのを感じた。ぞわぞわと全身の毛が逆立つのを感じる。あの時は勢いで我慢できたものの、できれば二度と経験したくない。それでも必要ならば、我慢するしかないが……。

 少女の耳が伏せられ、鼻先が下を向く。そんな合成獣キメラの少女に、エインズワースはあえて明るい声をかけた。


「心配召されるな、ステラ嬢。そこで私の出番なのさ。ほら、一つ目の情報を治療費として扱うと、私以外の吸血鬼が支払えるものが無いだろう? 他のみんなも髪が短いし、大なり小なり怪我をしている以上、下手に血を分けることもできん。だが私はのさ。それを皆で採ってくる事で、採取料を治療費に当てようと思っている。昔取った杵柄きねづかという奴さ。私が貴族だった頃の領地で栽培していた薬草でね、今は採り尽くされてしまって市場には出回っていないが、あの土地をよく知る私なら、施術しじゅつに必要な分くらいは見つけ出してこれるだろう。人間では行けそうにない場所になら、まだ残っているはずだ。」


 流れるように話すエインズワースの横から、アダムスが古い図鑑を開いてステラに見せる。

 紫色の葉に、小さく丸い実の付いた植物だ。葉の先が三叉さんさに分かれているのが印象深い。さっと文字を追う限り、この葉の部分に鎮痛効果があるらしい。


「確かにこれなら、ステラの施術しじゅつに使えるんだ。かなり前に絶滅したって言われてる品種だから僕は実際に使った事がないんだけど、エインズワースが使い方を教えてくれるっていうから、採用できると思う。」


 アダムスの言葉を受けて、ステラの顔に色が戻る。それに反して、エインズワースは楽しそうに意地の悪い笑みを浮かべた。

 芝居がかったような大仰な動きで立ち上がり、これまた芝居がかった口調で高らかに言い放つ。


「だが困ったことに、元々私の領地だった場所は、同時に吸血鬼狩人ハンター発祥の地でもあってね。あの土地には必ず狩人ハンターが滞在しているだろう。もちろん、私一人で行くのは心許ないから複数人で行くつもりだ。治療費の支払いに充てるのだから、当然でね! あぁ大変だ、これは命懸けだぞ! うんうん、いいねステラ嬢。その表情だ、思う存分私たちに感謝してくれたまえ!」

「エインズワース、口が過ぎるぞ!」

「なんでわざわざそんな事言うんだよ!」


 故意に不安を煽る巨漢の吸血鬼を、ランプたちが口々に責める。ステラはエインズワースの手のひらに踊らされるがまま、心配そう眉尻を下げ、身を乗り出していた。

 ひとしきり責められたエインズワースは、「言ってみたかっただけだ」と笑ってみせる。

 そして、大きく息を吐いて肩の力を抜いた。気のせいか、ステラには大きな体が一回り小さくなったように感じた。


「今のは半分冗談だよ、ステラ嬢。」

「半分は本気なのか、タチが悪い男だな。」


 ソルフレアの悪態に弱々しく笑い、治療が終わった右手で短いブロンドを掻いた。


「彼女が最初に言った通りなんだ。吸血鬼が命を狙われるようになってしまったのは、私たち古き同胞の蛮行が原因だ。そして、その後に続く若い世代に蛮行のツケを払う義務はない――はずなのだ、本来はね。実際は、テオ君たちのような若者に苦境を強いている。それは、あってはならない事なのだ。だからね、ステラ嬢――」


 エインズワースの碧色の瞳に光が宿る。それは野心と、高い自尊心を持ち合わせた強い光だった。


「これは“けじめ”だ。私は昔、貴族だった。いや、今でも貴族であるつもりだ。領地も失くし、テオ君が私の元に現れるまで数百年、洞窟で骨と皮だけになりながら汚泥おでいすすって生きてきたが、自身が気高き者である事を忘れた事など一瞬たりとも無かった。なけなしの髪をルヴァノス君に売って、上質な衣服を纏い、どんな時でも貴族として振る舞うのが私の信念だ。たとえちっぽけで下らなくても、それが私の誇りなのだ。それは、古き吸血鬼であれば皆そうあろうとするだろう。。今は過激派と穏健派で意見が分かれているが、本来はこの気高さこそが、我々古き吸血鬼たちの誇りである。そして、次代に繋げるのだよ。若いテオ君が持ってきた新しい風を全力で生かすのさ。穏健派の代表としてもね。」


 その場にいる全員が、エインズワースの言葉に聞き入った。誰も口を挟むことなどできない、長い時を積み重ねた者だけが持つ強さが、そこにあった。

 ステラの肩に、傷一つなくなったエインズワースの右手が置かれる。


「私たちは必ず薬草を取ってくる。だから君は何も心配せず、大船に乗ったつもりでいたまえ。」


 とても人を殺してきたとは思えない、暖かく優しい笑顔が少女に向けられた。

 ステラは肩に置かれた右手を取り、両手で包み込む。その上からエインズワースの左手が置かれ、


「ま、君たちに恩を売っておくと後々得をしそうだからね!」

「き、貴殿という奴は――!」


 にかっと笑う吸血鬼に、ソルフレアが怒気を露わにする。アダムスの方は呆れたと言わんばかりに目を細め、キレのない動きで図鑑を本棚に戻した。



* * * * * *



 石鳥の方も治療が終わり、エインズワースと共に治療院をつというので、ステラ達は隣の遮光部屋に移動した。

 そこでステラは、石を取り除かれた石鳥の本来の姿の美しさにため息を零した。


 鷹ほどの大きさの一つの炎が、堂々たる威厳を持ってテーブルの上に佇んでいた。

 首から胴にかけてすらりとした稜線を描く身体。翼と尾羽は揺らめき、橙と赤の炎をたたえ続けている。吸い込まれるほどに澄み輝く瞳がステラを見つけると、高く美しい声を上げ、両翼を広げて見せた。部屋中に炎と光が溢れ、くすぶるような熱が舞う。火の粉が視界を華やかに彩るが、そのどれもに治療院を焼こうなどという意思はない。

 隣に立ったアダムスが語る。


「石鳥は俗称でね、彼の本当の名はフェニックス。火山地帯に住み、あの身体の炎が消えない限り何度でも蘇る不死鳥だ。実際は、石に覆われすぎて炎が鎮火させられると死んじゃうんだけど、元気になってよかったよ。ほら見て。」


 アダムスが指さす先を追う。ベッドの上に大きく美しい結晶が頭、胴、左右の翼、尾羽と、鳥の形をして広げられていた。


「これぞ芸術! 苦労して剥がした甲斐があっただろう? ステラ嬢、こんな美しいものにお目にかかることができる人間は九分九厘くぶくりんいないんだよ。君は運がいい!」


 胸を逸らすエインズワースの言葉を聞きながら、ステラは結晶を覗き込んだ。石鳥――フェニックスの炎と同じ、燃え盛るような橙と赤の宝石だ。表面には羽の繊維の一本一本までくっきりと写し取られており、光の反射で流れに沿って輝いている。先にいくほどにその彫りは揺らめく炎のようにうねり、無作為な模様でありながら、完璧に調律された楽器の奏でる音のような美しさを放っていた。

 裏面は、確かに石鳥の姿の時に身体に張り付けていた石だった。

 両腕で抱えたあの鳥の中にこんなに美しいものが隠されていたなんて。そう思うとステラの心は静かに震えた。エインズワースが「砕くな」と力説するのも頷ける。


 ステラが視線を上げてフェニックスを見ると、彼はつんとくちばしを上げた。どうやら気位が高いらしい。


「さて、そろそろつか。」


 エインズワースがそう呟いて腕を出す。フェニックスは静かにその腕に留まり、共に外に出た。



 * * * * * *



 広場にはたくさんの精霊が集まっていた。彼ら――特にフェニックスを見送りに来ているらしい。光の玉の姿をした彼らが集まると、夜でも辺りが明るくなり、幻想的な光景が広がる。


「改めて、世話になった。この治療院は信頼できる。他の吸血鬼にも伝えておこう。あ、できれば護衛は雇ってくれ。」

「わかってるよ。そっちも元気でね。」

「あまりここに厄介事は持ち込むな。」

『気を付けて、いってらっしゃい。』


 三者三様の見送りに、エインズワースはふっと気障な笑みを見せる。そして来訪時にも着ていた黒いローブを翻し、腕を上げてフェニックスを飛び立たせた。

 両翼が広げられ、炎の翼が治療院の前を覆うほどに大きく膨張する。辺りは昼間のように明るく照らし出され、そのまばゆさにステラは目を見張った。まるで太陽がそこに現れたかのような、強い命の存在が鳥の姿をしてそこにいる。

 熱気が顔を叩き、橙色の火の粉が精霊たちの間を舞う。

 羽ばたく度にフェニックスの身体が持ち上がり、精霊の森を広く照らし出した。


「フェニックスは常に飛び回り続ける鳥だ。だから、こうして飛び立つ所を見られるのもとても珍しいし、意味合いとしても縁起が良い。ま、それは古い言い伝えだがね。」

「へぇ、どんな意味があるの?」


 穏やかな声で呟くエインズワースの顔を、アダムスが覗き込む。ステラとソルフレアも同様に半歩前に出て、彼の言葉を待った。

 エインズワースは三人の顔を見回し、はっきりと告げた。


「“再出発、幸多き門出”。ここが私の人生の転機。ま、せいぜい頑張ってみるさ。」


 大きく笑い、彼は歩み出す。それと共に、フェニックスも広場の上空を一周した後、森の向こうへと飛んでいった。

 少し先に進んだところで、エインズワースが振り返る。


「ステラ嬢! 君もそんな身体になって大変だろうが、お互い頑張ろう!」


 大きく手を振って去っていく吸血鬼の背中に、ステラは軽く自由になった手を、姿が見えなくなるまで振り返した。

 フェニックスの灯りは、ずっとずっと遠くにいっても見えるほど、強い光を放っていた。



 * * * * * *



「エインズワースのウソつき~」


 一週間後。暑さも和らぎ、ほんの少し爽やかな風が吹く季節になってきた頃。

 リビングでは、テーブルに突っ伏すアダムスが文句を垂れる姿があった。


「お金になるって言ったのに~!」

「仕方がないだろう、白日はくじつの治癒術師。ルヴァノスへの借金を差し引いても、これだけ残ったのなら上場だ。」


 テーブルの真ん中では、小袋が無造作に金貨を吐き出していた。ソルフレア曰く、この治療院でも恐らく数年はもつ、という程度の量らしい。

 銅貨どうか百枚で銀貨ぎんか一枚、銀貨ぎんか百枚で金貨きんか一枚だ。ソルフレアが言うには、大きな都の中流階級の庶民の一月ひとつき分の収入が、銀貨二十~五十枚ほどだとか。ちなみにステラの実家は自給自足か物々交換が主だったので、銀貨すら珍しい。

 ましてや金貨を見るのは初めてなのだが、アダムスは大変不服らしかった。


「第一、貯蓄も無しに事業を始めること自体が無謀なんだ。普通でも軌道に乗るまで数年かかると、エインズワースも言っていただろう。当面の金ができただけ儲けものだ。欲の皮を突っ張るな。」

「だって~~」


 顔を上げた少年の顔は、どんよりと曇っていた。


 石鳥――フェニックスの完璧な形で揃った結晶セットを見て、ルヴァノスは驚き喜ぶだろうと皆予想していた。

 だが実際にそれを目にしたルヴァノスは顔を引きつらせ、こう言ったのだ。


「こんな物を世に出回らせたら、戦争が起きかねません。」


 この結晶セットは、魔術的にも芸術的にも国宝級の価値があるらしい。下手に世間に公表すれば、で、「オークションなんてとんでもない!」と紅蓮ぐれんの商人は怒鳴り散らした。

 結局、アダムス達のマスターフィルル・エルピスの伝手つてで炎の大魔術師の意見を仰ぎ、彼が懇意にしている氷の魔術師たちの組織で厳重に保管されることとなった。炎由来の強力な力を持つ結晶なので、氷の魔術師たちが監督するのが一番安心らしい。

 一応、買い取りという形で炎の大魔術師からある程度の金を渡されたが、


「君たちがやっている事はとても尊く賞賛されるべき内容だが、こういった危険物を世間に出す事については細心の注意を払え。」


 と、魔法生物ランプの所有者であるマスターが叱られる結果となった。

 おかげでアダムスは踏んだり蹴ったりだ。


「ま、そう上手くはいかないという事だ。良い勉強になったな。」


 ルヴァノスの負担が減ったからか、自分の研究費が確保できるようになったおかげか、ソルフレアは機嫌が良い。涼しい顔で水出しの紅茶を味わっている。

 アダムスは上体をゆっくりと起こし、うなされるように天を仰いだ。


「やっぱりちゃんと稼げるようにならないと。でも、人手が足りない…………ねぇ、ソルフレア――」

「当方は用が済んだら出て行く予定だ。」

「まだ何も言ってないのに!」


 悲劇のヒロインの如く、アダムスは両手で顔を覆った。

 ステラは困った顔で二人の様子を交互に見やる。


「はぁ……信頼ができて、精霊の森に入ることができて、ここに住み込んでくれて、人外にも偏見なく、人外からの信頼も厚い優秀な治癒術師はいないかなぁ。」

「百年に一人の逸材だな。それよりステラの施術しじゅつが先だ。」


 冷たく一蹴するソルフレアの言葉を受け、アダムスはもう一度大きなため息を吐いた。



 命題8.吸血鬼と石鳥 ~完~


                →次回 命題9.職人 ロメオ・ガリレイ

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