第4話~中学2年

 2年生になって好きな人ができた。S木J洵也。小心者の私は、こそこそその人を見ることしかできなかった。相手からの反応はない。当たり前だ。




 体育の授業に教育実習生の大学生が来た。今思うと野暮ったい男だったが、当時の私にとっては新鮮で、とにかく話をしたかった。しかし話し掛けても相手にしてくれない。なのに同じグループの可愛い子ちゃんには先生自らが話し掛けている。しかも沢山、ぺらぺらと。私はその時知った、「女は顔」なのだと。そして私はその「顔」ではないことを。親を怨む。




 寒い頃だった。S木J也へ自分の気持ちを書いた小さなメッセージカード。それを友達が渡してくれた。返事も何もずっとない。どれくらい経ったかは忘れたけど、友達に付き添ってもらって、彼の家に電話をした(その頃まだ携帯電話などない)。返事を聞きたかった。自分の中で、はっきりしたかったのだろう。彼は学校の部活には入っておらず、ジュニアユースで活動をしていた。『サッカーがあるから。ごめん。』と言われた。イエスかノーかはわかっていた。ショックはなかった。

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