29.村の鍛冶屋
カイトとハシュードさんと一緒に選んだ依頼書を持って、僕たちは受付に向かう。
「あら、おはよう。 いらっしゃい、今日はどうしたの?」
今日も受付は、サリーさんがやっていた。
「おはようございますサリーさん。 今日は、依頼を受けに来ました。 この依頼を受けたいんですが。」
そう言って僕は、2枚の依頼書をサリーさんに渡す。
すると、サリーさんが唸りだす。
「うぅぅ・・・。」
「ど、どうしたんですか? 体調悪いですか?」
「ち、違うわよっ! ただ、ハルトくんのランクが達していない依頼があったからなの。」
「あ、それなら心配いりませんよ。 今日は俺、ハルトとパーティ組むので。 それなら問題ないでしょ?」
「そうだったんだね。 それなら問題ないわ。 ただ、ハクドリは大丈夫そうだけど、フクロテイガーだけは気を付けて。 いい? 無理しちゃダメ、時には退くことも必要な時もあるの。 とにかく、生きて帰って来てくれればいいから。 気を付けてね。」
「はい、ありがとうございます!」
無事に依頼書は受理してもらえた。
だけど、結構心配していたしフクロテイガーってやっぱりヤバいやつなんじゃないのかな?
まあ、いざとなったらサリーさんの教えを守ろう!
そんなこんなで、依頼書を渡しギルドを後にした一行。
今回依頼を受けたモンスターは、2種類とも北の森に棲んでいる様なので早速そこへ向かうと思ったが、流石にその剣というか、ビックウルフの牙というかじゃ、あまりにも戦いにくいだろうという事で、剣を買ってもらえることになった。
という訳で、現在僕たちは、村の鍛冶屋にやって来たわけなのです。
カランカラン!
「いらっしゃい! 好きに見ていってくれ!」
声のする方を見ると、カウンターの椅子に40歳くらいの男性が座っていた。
どうやら彼がこの鍛冶屋の店主の様だ。
お店の広さはこじんまりしているが、商品は沢山並べられている。
さながら通路を占領しかけている所もあり、所狭しと置かれる商品という点が、元世界のとある総合ディスカウントストアかのようだ。
まあ、売っている品物自体は、そんな所に売っている様なものとは違うのだが、やっぱり懐かしいんだこれが。
そんな昔の事を思い出しながら、店内を見て回る。
店内にある商品はどれも、剣や盾、はたまた鎧など、中世ヨーロッパや異世界の雰囲気がバンバンだ。
というよりも、実際に異世界なんだけどね!
値段は物によりけりという感じかな。
でも、装飾の付いていたり、他の物に比べて派手なものは高い感じだね。
だけど、そういうのは実際飾りが人気だから高いだけで、きっと品質は普通のものと変わらなかったりするんだろうね。
うん、どこかでそんな事聞いたことあるし、きっとそうだろう。
だから僕は、そういうものには目もくれず、装飾の無い剣が陳列してある一角を見付けると、そちらに向かった。
その一角はやはり他の陳列スペースと違い、人気が無いためなのか少し薄暗く感じる。
ただ単に、剣に装飾が無いからかもしれないけどね。
だけど、きっとこの中にこそ僕の相棒に相応しい剣があると、そう僕は思うんだ!!
「ハルトー、そんな素っ気ない剣なんて見てないで、こんなのはどうだ? ピカピカしててカッコいいだろ~!」
「いや、カイト。 流石にそれはないんじゃないかな? 町中を歩くだけならいいかもしれないけれど、確実に目立つからそれ! そうすると、森の中とか夜とかに、モンスターや盗賊に襲われまくっちゃうんじゃない?」
「そ、そうかもな・・・。 でも、似合うと思うんだけどなぁ・・・。」
「カイト、ありがとね。 でもそれは・・・ね?」
「ハルトくんが気に入ったものを選べばいいさ。 こんなに沢山あるんだから、きっと良いものが見つかるはずだから、ゆっくり選べばいいよ。 俺たちはあっちを見て来るからさ。 行こう、カイト。」
「あ、あぁ。」
「分かりました! ありがとうございます!」
こうして、僕の相棒選びが始まったのだった。
さあ! とことん探すぞ!!
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