17.ビックウルフの買い取り

 冒険者能力試験という名の実技試験を行った僕。


「はい、これで試験は終わりだよ。 これで冒険者登録も完了っと!」


 結局、サリーさんお手製のカカシを焼失させてしまうハプニングはあったものの、僕は無事に、冒険者としての試験を突破した。


 これで晴れて正真正銘の冒険者となったのだ!!



 「冒険者登録おめでとう。 まあ、あのカカシ事件のことは一生忘れないけど・・・むーっだ! あ、そうそう、お仲間が建屋の方で待っているみたいだよ。 私は後片付けがあるから、いってらっしゃい。」


 「はい! ありがとうございました!」

 


 ギルドの建屋に入ると、ロードさんとともに、ハシュードさんとカイトの姿があった。

 

 「ハシュードさん! カイト! それに、ロードさんも! 冒険者登録出来ましたよ!! 見て下さいこれ!!」


 僕は嬉しそうに冒険者カードをみんなに見せた。


 「おお!ハルトくんおめでとう!」


 「ハルトやったな! これで同じ冒険者になれたな!」


 「うん、お疲れ様! いい剣術だったぞ!」


 みんな口々に褒めてくれる。


 誰かに褒めてもらうって久しくないから忘れていたけれど、こんなにも嬉しいことなんだね。


 「ありがとう!」


 自然と口から、その言葉があふれ出ていた。



 さあ、早速冒険者となったわけだが、冒険者となって最初のお仕事は、異世界転生初日に倒した、ビックウルフをギルドに買い取ってもらうことだ。


 早速買い取りカウンターへ向かう。


 ちなみに、ビックウルフはハシュードさんが持ってくれているので、2人で向かっている。


 「さて、いくらになるか楽しみだな、ハルトくん!」


 「はい!ワクワクです!!」



 そんなことを話していると、すぐに買い取りカウンターの前までやってきた。


 流石に、買い取りカウンターを担当する職員は男性のようだ。


 買い取りカウンターに着くと、ハシュードさんにはカウンターの上にビックウルフを降ろしてもらい、僕は受付の人と話し始める。


 「すいません、こちらのビックウルフの買い取りをお願いしたいんですが。」 


 「お! 結構な大物じゃないか。 冒険者カードを貸してもらえるかな? それと、全部買い取りでいいかい? それともどこかだけもっていくかい?」


 僕は冒険者カードを手渡しながら、質問に答える。


 「お肉だけは引き取らせてください。 それ以外はお買い取りをお願いしたいです。」


 お肉はみんなで食べようと、ハシュードさんとカイトと約束していたのだ。


 「あい分かった、夕刻ぐらいにまた来てくれ。 解体と査定を終わらせておくから。」


 「分かりました、お願いします!」


 そう言って僕たちは、買い取りカウンターを後にした。



 「初めての買い取り依頼はどうだった、ハルトくん??」


 「なんだかいいですね! こういうの、凄く楽しいです!!」


 「それは良かったよ。 でも、よく覚えていてくれたね、肉のこと。 案外旨いんだよあいつの肉は。」


 「そうだったんですね! 食べれるのが楽しみです!! また楽しみが増えましたよ!!」


 「ハハハ、それは良かったよ。」



 そんな会話をしながら歩いていると、カイトの元へ戻ってきた。


 どうやらロードは、門の番の任務に戻ったのだそうだ。


 そりゃそうだ。


 忘れていたけど、逆に今まで、僕の試験の相手が終わった後もずっといて、喋っていたことに驚きだよ。


 「で、どうだったんだハルト?」


 「買い取りのお願いは出来たよ。 また夕刻ごろに来てくれだって。」


 「そうか、でだな・・・その・・・肉はどうかな??」


 「ちゃんとこっちに返してもらうようにお願いしてきたよ!!」


 エッヘンと胸を張る。


 「偉いぞハルトー!!」


 カイトが頭をワシャワシャしてくる。


 相当美味しいんだろうなー、そんな想像が頭の中で膨らんでいくのだった。




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