11.山菜とキノコの煮込み
盗賊を倒し、負ったケガもポーションで痛みが引いたため、僕たちは再び歩みを始めることにした。
痛いものは痛いのだが、そうも言っていられない。
ここは危険地帯だ、いつ別の盗賊が現れてもおかしくない。
「こんなおっかない所、速く抜けるぞ! もうこれ以上は御免だからな。」
ハシュードさんの言葉に2人とも頷く。
「出発だ!! 行こう二人とも!」
「おうっ!!」
「はいっ!!」
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僕たちはかれこれ5時間ほど歩き続けていた。
既に危険地帯は抜けている。
しかし、あんな目にあったのだ、周囲の警戒は怠らない。
が、ほんとにモンスターとかいないなぁ。
そんな疑問を、横に歩いているカイトに言ってみる。
「そりゃそうだろう、こんな所に出てこられちゃたまらないよ。」
笑いを堪えながら、何を言っているのだと言わんばかりに話す姿が、ちょっとだけムカつくような。
「ハルト、いいか? 街道にモンスターなんて頻繁に出てみろ。 そこら中死体だらけの地獄になるぞ! みんながみんな、護衛を雇えるわけじゃない。 だから街道は、モンスターの出にくい所を選んで造られているんだぞ。」
「へぇ、だからモンスターがいないかったんだね! てっきり、ビックウルフの様なやつがウジャウジャいるかと思っていたから・・・。」
「ハハハハハッ! 冗談はよしてくれよ、あんなのがウジャウジャいたんじゃ気軽に外に出られんぞ。 どんだけ面白いんだよハルトは!!」
冗談で言ったわけじゃないんだが・・・。
まあ、ビックウルフがウジャウジャいる訳じゃないようなので一安心だ。
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そんなこんなで、話しながら歩いていたら空が暗くなってきたので、この日はこの辺りでキャンプだ。
今日の夕飯は、山菜とキノコの煮込みだ。
元の世界の食事と比べたら質素かもしれないが、味は僕が保証する!
元世界の食べ物と比べても絶対に美味しいに決まっている!
普段、〇〇改良などをされにされた物ばかりのものだったのが、突然100%自然でなった物を食べるのだ。
もちろん中には、クセが強いものもあるけれど、全然負けず劣らず美味しいし、自然ってだけで何だか特別な感じがするのは、きっと僕だけじゃないはずだ。
そんな事を頭の中で考えていると、料理が完成したようだ。
スープがグツグツとしていて美味しそうだ!
ちなみに、この焚火の火も僕が魔法で点けたものだ。
ホントに魔法って、つくづく便利だよ。
そんな事を考えていると、カイトが木のボウルに料理をよそってくれたので受け取る。
湯気が天まで昇っていて、温かくて非常に美味しそうだ!
みんなの準備が出来たところで早速頂くことにする。
「いただきます!!」
木のスプーンを使い、温かいスープごとキノコを口に運ぶ。
ゴクッ! んん~、温かいスープが疲れた身体に染み渡る。
塩風味のスープだが、山菜やキノコの旨味が出て味わい深いスープに変身している。
「美味しい!! 幸せな美味しさだよ!!」
普段は気が付かなかったが、ただ単に煮るだけでもこんなに美味しいものが出来るなんて。
自然は凄い力を秘めているな、とふと思い知らされた。
ハシュードさんが言っていたけれど、今晩は実際、少し質素な夕食だそうだ。
それでもこんなに美味しいなんて、異世界の食事には期待大だよ!
これからの食事がホントに楽しみだ!
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さて、食事も終わり恒例のジャンケンタイム。
今回は、ハシュードさん→僕→カイト の順となった。
魔の?真ん中となってしまった。
ただ、今日は人生一と言っても過言ではないほど疲れたのだ。
途中起きたところで、きっと爆睡出来るはずだ。
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