「セクシーに」自然を守れ!

ネコ エレクトゥス

第1話

 僕らは自然を守らなければならない。地球上の全ての動植物のために、そしてこれからの人類のために。それについては誰も疑問の余地がない。ただそのためにはいったい何をすべきなのか。それを思い起こさせてくれる出来事がこの間あった。

そしてそれはとてつもなく「セクシー」だった。


 その出来事というのは美食家として知られる魯山人に関する本を読んでいただけなのだが、そこで紹介されていた魯山人の愛した料理の写真を見て、いい年をして恥ずかしながら、よだれを垂らしてしまった。うまそう。

 魯山人の美食家としての美意識はまず愛情、ということだった。これがなければ全ては始まらない。

 そしてこの本に述べられていたことで特に印象的だったのが西洋料理と日本料理の本質の違いについてだった。西洋料理はまず足したがる。日本料理はまず引きたがる(このことは絵画の歴史などを見ても同様で西洋の油絵は塗り重ね、日本画は線を省略したがる)。

 今の文化全体を見てみるとこの足し算型の文化が主流である。皆さんの生活の身の回りを見てほしい。いかに足し算で埋め尽くされているか。僕の生活も足し算だらけである。

 これに対して引き算の文化とはどういうことか。それは素材の持っているそのままの味を味わうことである。刺身のように。

 もしあなたがおいしい魚を食べたいと思ったらどうしなければならないか。魚たちの住んでる環境に配慮しなければならない。おいしい野菜が食べたいと思ったらどうするか。野菜の環境に配慮しなければならない。そしてその全てを愛すること。春を愛するなら同様に夏を愛し、秋を愛するなら同様に冬も愛する。そして季節のものを食べる。日本料理の伝統はそこから始まっている。今の時代の冬に夏のものを求める文化は自然への愛からは程遠いのではないだろうか。そして「うまい」ということ、「セクシー」であるということはどういうことなのか見失っているのではないだろうか。もし本当に自然環境に配慮したいのならこれだけが本当に唯一の手段だと信じている。そして小泉環境大臣も本当のところはこんなことが言いたかったのではないかと思う。


 こんなことを書いていて皆さんを批判しようというのではない。僕の今までの人生も足し算の連続だった。ただ皆さんが僕ぐらいの年齢になった時「昔あんなことを書いている人間がいたな」と思い出していただけたら嬉しい。


 そうはいっても近頃寒いことは寒い。季節の暖かいものでも食べて風邪をひかないように。僕は日本酒で。

 

 

 

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