第2話混沌と混乱とバイアス
頭を整理するために2時間以上、デパートでタバコを吸っていた。タバコの量は10本は吸っていた。
「さて、と」俺は落ち着きを取り戻し、もう一度KとQの死体があるところに行った。
二人の遺体に変わりはなかった。
「死んでいるよね」同情や悲しみはやはりなかった。ゲームはゲームだった。たとえ死のうが、敵の可能性も十分にあった。家族の可能性もあったのかもしれないが、それはそれだった。
「これで、残りは二人」俺は昨日と違っていた。ゲームを始めた時はあれだけ慎重に行動していたのにデパートに入ってからの俺はどこかだらしない、いや、まるで安定剤を飲まされたかのようにふわふわしていた。
俺はデパートの外を見た。
幸い、今日は昨日と違い、霧はなかった。デパートでご飯を済まして、外に出ようとした。
少し遅い昼ご飯はバナナとおにぎりと刺身(サーモン)と卵サラダだった。
俺はご飯を済ませて、外に出ようとしたが、またしてもひどい睡魔が襲ってきたのである。
「なんで?」俺は今になって気がつくべきだったのかもしれない。あのデパートの中の物に何か混入物が入っていたのかもしれないと。
俺はふらふらになりながらも外に出ようと思ったが、この睡魔に勝てなかったのか、またしても同じようにベットに寝てしまった。
「う・・・・・ん」俺が目を覚ましたのは昨日と同じベットだった。そしてまた違っていたのは、
「起きましたかFさん?」死んだはずのKとQがいたことである。
「・・・・・起きたよ。嫌な悪夢で」
「良かったです!」死んだはずのKは笑顔で俺に笑ってくれた。Qの方も笑っていたが、声には出さなかった。
「・・・・・・生きてるの?」
「生きてますよ。突然どうしたのですか?」
「いや、夢の中でKとQが首を切られて腹わた切られて殺されているのを見たから」俺はそう言ったが、KとQは変な夢でしたねとはぐらかすように言った。
どうやら、KとQと初めて俺があった後、俺はうとうと寝てしまったようである。
「今何時?」
「ちょうど昼の12時ですよ、昼ごはん食べに行きますか?」Kがそう言って、デパートの地下に行こうと言われた。
「いや、いい。多分このデパートの食料にはきっと何か薬が盛り込まれている感じがする」
「そんなことないですよ、私とQはよくここで食料を食べますが、そんなこと今までなかったですよ」Kはそう言ったが、信じられなかった。
「まあ、いいですよ。私とQはご飯食べに行ってますから。また、後で会いましょう」そう行って二人が行ってしまった。
「・・・・・何してんだか」ゲームが始まって何日経ったのか?2日、3日?それとももっとなのか?
よくよく整理をしてみたら、おかしくないか?そもそもこれは認知バイアスゲーム。本当にあの二人を信用していいのだろうか?昨日かその前の俺が少しおかしかったのか。プレイヤーは全員で6名。現在わかっているのは俺であるF、K、Q、死亡した女性。残りは後2名。どこにいるのか?
ポーーーーーん、ポーーーーーーーーーん、ポーーーーーーん。突然大きな学校の時のようなチャイムが鳴った。
「皆様、初めまして、私たちは傍観者であります。私たちは今、ゲームを見させておりましたが、多数決の結果、現在の認知バイアスゲームは非常に非常に非常に楽しくないことになりました。ですので、今からプレイヤーのあなたたちには1時間後に勝者が決まらなかった場合、全員敗者にさせていただきます」
あーーーーーー、このゲームのルールはわかっていた。傍観者たちがこのゲームにどれだけ影響があるのかも知っていたし、そして、このゲームがいかに、
糞ゲーー!であることにも。
「きゃあーーーーーーー!!!」デパートの地下からKとQの声がした。
俺は地下に行ったらそこには中年男性一人と長身の金髪の女性がいた。
中年男性はピストルらしきものを持っており、金髪の女性もピストルらしきものを持っていた。ピストルの先はKとQにそれぞれ向けられていた。
「助けてくださいFさん!」Kが叫びながら俺の方に向かっていった。
Qも泣きそうな顔をしながら俺に目を向けていた。
「これで全員だねーーー」中年男性はそう言いながらピストルでKの足を打った。
彼女は叫びながら喚いていたが、すぐさま、2発目の弾で脳天を撃ち抜かれ殺されてしまった。
それを見たQはKの方に向かおうとしたが、金髪の女性に頭を撃ち抜かれた。
「さて、これで残り3人。私と彼女と君の3人」中年男性は俺の方に向かっていった。
「私は今二人殺したが、どうやら二人とも敵ではなかったようだ。とすると君か、彼女が私の敵になる」中年男性は俺の方にピストルの銃口を向けた。
そして、金髪の女性は中年男性に銃口を向けた。
「おやおやおや、なんでかなーーー?なんで私に銃口を向けるかな?」
「うっさいなーーー!私は最初見た時からあんたが私の敵だと感じてるんだよ!なのにあんたはピストル持ってるし」
「お互い様だろ」中年男性は笑いながら言った。
「それで4日間、こんな緊張状態が続いていたんだろーー」女性は半分泣きながら、その男性に言っていた。
「あんたの初見、私が見た時で最悪だったよ。女性をレイプしながら殺そうとしてたんだからね!」
「ああーーー、あの女性か。確かに彼女は綺麗だった。私もこのゲームに参加して記憶がなかったのだがね。どうやら性欲と独占欲は相当強かったらしいね」
「そんなやつがこのゲームの勝者になって言い訳ねえだろうが!」女性は正義感が強いのか、中年男性を今にも殺そうとピストルのトリガーを引く寸前まできていた。
「わかった、わかった。とりあえずあの青年を殺してからお互い考えないかい?」中年男性はトリガーを引いた。だが、その瞬間、中年男性の頭が爆発してしまった。
グシャ!と頭の中の脳みそが綺麗に吹き飛んでいき、俺と金髪の女性は中年男性の脳みそをシャワーのように浴びた。
「うええーーーーーつ!」金髪の女性は悲鳴を浴びながら、体にかかったものを取り払っていった。
俺も体にかかったものを取った。
中年男性は頭だけ吹き飛んで、まだ体の方はピクピクしていた。まな板の魚のようにピクピクしており、気持ち悪く、俺はその場で吐いてしまった。
3分くらい経ったのだろうか?ラーメンができるには早すぎるのかもしれないが、プレイヤーは俺と金髪の女性だけになった。
「これで二人だけね」金髪の女性は平常心を取り戻し、俺に銃口を向けていた。
「そういうことですね」俺は平常心でいるつもりだったが、どうしようもなかった。
「ていうことで、あんたが私の敵っていうことで良いのよね。それじゃあバイバイ!」そういって、彼女はトリガーを引いた。
そして、彼女もトリガーを引いた途端、頭が爆発した。
今回のゲームの勝者がその瞬間、俺になったのか?
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