第12話 恋愛教育
「詩ちゃん! 貴女はね恋愛と言うものがわかってません! 今貴女が言っている事はお父さんが好きだ結婚するとか言っている子供と同じです!」
「ふええええええ」
うーーん、その容姿でふえええとか……何ぶってるんだって思うけど……実際には小学生なんだよねえ……この娘。
「恋愛マスターの私が今から恋愛のイロハを詩ちゃんに伝授します!」
「はい……です」
「良いですか? まず、恋愛は心と身体、二つの愛があります!」
「……身体?」
「……それはまた後で、まずは心です!」
「はい先生! 私とたっくんはもう愛し合っているです!!」
詩ちゃんピシッとした姿勢で元気よく手を上げ質問してくる。うん、姿勢は大変素晴らしい、でも……。
「あ、まーーーーーーーい!」
「ひぐううう」
「詩ちゃん! 甘い、甘すぎるよ、某千葉県の有名コーヒーぐらい甘すぎます!」
「? …………!! ああ、マック」
「言わなくて良いです!!」
詩ちゃんをテーブルに座らせたまま、私は赤いだて眼鏡をかけ、恋愛講義を始めた。
「詩ちゃんも言ってたじゃない、愛し合っている二人の光が段々と小さくなっていったって、どんなに愛し合っていても、心変わりはあります!!」
「……ううう……確かにですぅ……で、でもぉ」
「でももパレードもありません! 良いですか!? お付き合いは必要なのです! 結婚前に色々と……お試しは絶対に必要なんです!! お化粧品も買う前に肌に合うか確認するでしょ?」
「お化粧とかした事ないですう」
「それでその綺麗さには少々腹がたちますね、今はとりあえずそういう物だと理解しなさい!」
「……はいですう……」
ビクビクする詩ちゃんに……私は少しS心が芽生えて来てしまう……。
「馬鹿な男と付き合って、傷付くのは女の子なんです! 特に女の子は初めの男が肝心なのです!!」
「はいですう……」
「よろしい、まずは質問、詩ちゃんはそのたっくんとやらのどこが好きですか?」
「ぜ、全部ですうううううぅ」
詩ちゃんはポーーっと赤い顔になり頬に手を添え、いやんいやんと身体を振る……。いや、萌えるけどおお……。
「一度会ってちょっと話しただけでこの惚れようとは……運命って怖い……良いですか、詩ちゃん、男の子は基本的に悪い人って認識を持ってください!」
「たっくんはイイ人です!」
「それは羊の皮を被ってるだけです! いざとなったら皆、野獣と化すのです! 男の子は自分の手のひらで転がさなきゃいけないのです! 気軽に心や身体を許してはいけません!」
「……身体?」
詩ちゃんはそう言って首を傾げる……詩ちゃんにそういう事はまだ早い。
「だからそれは置いておいて……詩ちゃんにはまだまだ先の話です!」
「……はい先生、質問です……先生は心をお許しになったのですか?」
「ふぐうううう」
「ん?」
「せ、せんせい……の……事は……置いておいて下さい……」
「でもぉ……好きになった人がいないと説得力にかけるです」
「ううう、痛い所をついて来ますね、さすが見た目は高校生…………せ、先生にだって好きな人くらい……い、います」
「誰ですか!」
目をキラキラ輝かせる詩ちゃん……うーーんそういう所は女の子だよねえ。
「ぐいぐい来ますね……立場が…………えっと……誰にも言わない?」
「言わないですう」
「わくわくして……えっと…………お、お兄ちゃん……」
「ほえ?」
「…………お、お兄ちゃんが好きなの!」
「ほええええええええ」
「はうううう」
「先生! 最初に私に言ったですう、お父さんがとかって、先生もお兄ちゃんとか言ってるですう」
「ぐはあ…………わ、わたちは子どもだからいいのおおおお」
「誤魔化しても駄目ですうう」
詩ちゃんが涙目で私に訴える……ううう、バラしちゃった……私の秘密を……。
「と、とにかく詩ちゃんはその運命の人にあったら、とりあえず付き合いなさい!」
「で、でもおお」
「……あ、あのね、わかってるとは思うけど……小学生は結婚出来ないよ?」
「………………ええええええええ!」
「わかってなかったんかーーーーい」
ハアア……詩ちゃんの恋は前途多難だなと、これは教育が大変だと……私は思った。
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