徳川家康 (1965年・昭和40年公開)

徳川家康(1965年・昭和40年公開) 前編 三河戦線異常なし

 読者どころか、筆者も生まれる以前に公開された映画です。

 大河ドラマの常連キャラ徳川家康がメインの時代劇映画です。

 主演は北大路欣也。

 当時二十一歳!!

 若いでしょう?

 半沢直樹にラストシーンで出向を命じたあの頭取が、顔にシワが一本も無い時代ですからね。目からビーム出しそうな眼力は一緒ですが。

 制作は、時代劇の老舗・東映。まだ仮面ライダーやプリキュアを作っていない時代で、東映と言ったら時代劇という時代です。


 徳川家康って、生まれた時からドラマティックですから。人生が全部、創作ネタの宝庫。

 東映は宮本武蔵ばりの大作シリーズにしたかったようですが、この北大路欣也版は、出生から桶狭間の戦いまでに絞り込んでの映画化です。


 徳川家康(幼名は竹千代で元服名は元康だけど、紛らわしいから家康で統一するね)が生まれた当時の三河国愛知県は、


 西の侵略大好き尾張国西部愛知県織田信秀信長のパパ

     VS

 東の大国駿河国静岡県領主・今川義元ザ・グレート静岡キング


 の抗争に挟まれ、家康の父は今川義元ザ・グレート静岡キングサイドに付きます。


 大国駿河国静岡県の子分に成って三河国愛知県は安定するかと思いきや、家康の母・於大おだいの実家・水野家が織田に寝返り、実家に戻されて織田方の武将に嫁に出されてしまいます。

 母の顔を覚える前に、離別。


 家康のハードモード人生、開始です。


 この騒動の影響で、今川家は三河国への影響力を固める為に、家康竹千代を人質に差し出すよう命令。

 従うしかありませんので人質に送り出される訳ですが…なんと途中で織田信秀信長のパパ家康竹千代を護送する武将を高額で買収。織田家の人質に!

 怖いですねえ、尾張国西部愛知県

 勿論、家康竹千代の父に織田へ寝返るように脅迫しますが、家康竹千代の父・広忠は断固拒否!

 人質としての価値が微妙になってしまった家康竹千代の所に、織田信秀信長のパパのバカ息子、つまり織田信長吉法師が冷やかしに来るんですよ(笑)

 この織田信長を演じるのが、中村錦之助(萬屋錦之介)。

 歌舞伎から映画界に進出して成功した伝説のスターです。

 こんな大物が、超嬉しそうに「近所にお主の母上がいるぞ。恋しいか? 会わせてやろうか?」とか薄幸な子供相手に揶揄からかい始めるという(笑)

 それに対して家康竹千代が、「私には母の記憶が無いので平気ですが、家来達が辛いのでお辞め下さい」と静かに抗議。

 信長吉法師がハッとして周囲を見渡すと、家康竹千代の家来達が母を思い出して泣いているので、「すまぬっ!」って詫びるの。中村錦之助版信長吉法師が。信長が詫びるシーンって、レアですよ、レア。

 お詫びに信長吉法師は、於大おだいにこっそりと家康竹千代の姿を見せてやり、家康竹千代の折った金の折り鶴(若い時の家康はゴールド嗜好)をプレゼントする心遣いを見せる訳ですが…


 あー、ネタバレになるから、この辺で。


 家康、信長、於大おだいの三人の心情を中心に、映画は進んで行きます。

 この構成で映画を一本作るのって、相当に珍しいというか、唯一ですよ。


 では、後編は是非とも、鑑賞してから。

 Amazonのプライムビデオでレンタルすれば、すぐに視聴可能です。

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