実況:マッソー 解説:アレフ

「諸君、耳たぶの筋肉は鍛えてきたかね?実況のマッソーだ」

「解説のアレフだぜ!熱く盛り上げていくからよろしくな!!」

「今回は、邪王との決戦の模様をお送りする!勇者の躍動する筋肉に期待だ!!」

「こちらも、躍動感あふれる解説をお届けするぜ!!」

「まずは肝心の勇者だが……筋肉はそこそこだな」

「体格で劣るなら、精神力でカバーだ!」

「そして、四人の仲間だが……筋肉はそれなりと、バッチリと、貧弱と、ゴミクズだな」

「弱者にだって戦い方はあるはずだ!下剋上を体現してやれえ!」

「そして敵の邪王だが……うむ。グレートな筋肉だ!まずは、バッチリの筋肉がグレートな筋肉へと真っ向から挑んでいくようだ」

「その心意気やよし!ガチンコ対決ほど燃えるもんはねえよなぁ!」

「む!グレートな筋肉が繰り出した拳を、バッチリの筋肉がクロスカウンターにとったぞ!」

「後衛の僧侶と魔術師が援護の術式を展開中だぜ!」

「そんな貧弱筋肉とゴミクズ筋肉はどうでもよい!注目すべきは勇者だ!」

「オーケー!勇者は死角から、自慢の剣で攻めかかって……くそ!邪王のバックキックで弾き飛ばされちまった!」

「鍛え方が足りん!!あの程度の蹴り、正面から拳で受けて、逆に足を粉砕するくらいはできて当然!それでも勇者か!」

「なあに、こっからだ!たった一撃であきらめてたら、勇者の名が廃るってもんだぜ!」

「おおう!それなりの筋肉が、邪王の肩にダガーを突き刺したぞ!」

「だが、深手というほどではなさそうだ。腕の動きには支障ないようだしな」

「ほう、流石は邪王。よく鍛えられておる。わしから筋肉旋風センセーションの称号をやろう!」

「なんだかわかんねえが、マッソーさんから筋肉を褒められるなんて、流石は邪王だ!そうこなくっちゃな!」

「そして、ここぞとばかりにバッチリの筋肉がグレート筋肉と手四つで組みあったぞ!」

「少年漫画みたいで熱いじゃねえか!意地を見せろよ、屈強な格闘家!!」

「む?誰だ!?グレート筋肉に向かって、炎弾だの聖なる光線だのをぶつけている小癪な者は!力比べの最中に水を差すなど、邪道の極みぞ!!恥を知れ!!」

「い、一応援護の魔術や聖術なんで、大目に見てあげても……」

「無粋!!」

「すんませんっしたああああああ!!自分、調子乗りましたあああああ!!」

「やはり、小細工なしの素手喧嘩ステゴロこそ至高!必殺の拳の応酬こそ、ラストバトルにふさわしい!!」

「それについては同感だ!川原の喧嘩から、互いに力を使い果たした末の殴り合いまで、素手でやり合うってのは燃える展開だぜ!互いに血と汗を流しながら、存分に拳で語り合えばいいぜ!!」

「うおっ!?急にバッチリ筋肉が崩れ落ちたぞ!?一体何事だ!」

「ライフドレインだな!直接触れたものから生気を吸い取る、禁断の闇魔術だ」

「審判!!今のはファールだ!!力比べと見せかけておいて、そんな小賢しい手を使うなぞ、許しておけるものか!!」

「クソ、やってくれるぜあの悪党め!さすが、邪王を名乗っているだけあってやり方が汚え!!」

「恐るべきかな、グレート筋肉!だがそれでは真の筋肉には辿りつけん」

「ダメだ!勇者も闇魔術のカースフレアで身動きを封じられた!残った前衛は短剣使いのみだ!」

「ぐぅ、それなり筋肉も邪道な術にて地に伏したか!残っているのは貧弱とゴミクズのみ!」

「チクショウ!こんなのはあんまりだ!!ストーリーラインの変更を要求するぜ!!」

「もう見てはおれん!アレフ、我々も救援へと赴くぞ!!」

「しかしマッソーさん!それは、世界への直接干渉は禁止という規定に違反することになる!」

「先に禁じ手を使ったのは向こうが先だ!それともお前は、あの状況を指を咥えてみているつもりか!それでも男か!?」

「!! そうだな、このままあいつらを見捨てるなんて、男の風上にも置けやしねえ!!マッソーさん、俺も行くぜ!!主人公の危機に味方が駆けつけるっていう、少年漫画のご都合主義を、俺が再現してやるぜ!!」

「よく言った!!ではゆくぞ!!筋肉の違いを見せつけるために!!筋肉こそが世界を救うのだと知らしめるために!!」

「待ってろよ勇者達!!お前達をみすみす死なせはしねえからな!!アレフ様が、今行くぜい!!」

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