第6話 ライバル登場

入学式から、早1ヶ月。

その間、特に何も無かった。

富山くんと仲良くなるとかも無く、告白した子がいるとかでも無く。

普通の、毎日。

もしかしたら、それに慣れていたのかも。


その日々が崩れるのに、大した時間はかからなかった。


「ねえねえ! 富山と小学校から一緒の子いるらしいよ」


ある日。突然、七海が放った一言。

あまりに突然で、思考停止する。


「え?!」


七海曰く富山と小学校から一緒だという『坂本真江ちゃん』は富山にはなんの接触もしていなかったし別のクラスだったので、認識していなかった。これは·····もしかして?


「富山くんのこと、好きなのかな·····?」


「ぽいね」


ライバル登場ですね、はい。

幼馴染って、なんかズルくない? 勝てなくない?? だって私、まだ好きな食べ物とかも知らない。元々、話したことある回数が少ない。

落ち込む私に、さらなる追い討ちがかかる。


「隣のクラスだって。なんか、かっこいい男子がいなかったから、らしいよ」


「え?なに、それ?」


「なんだろうね?両思い、というか好かれてる宣言じゃない?」


「·····」


最初のいい滑り出しもなんだったのか。

この恋、見事に沈没する予感です。

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