第5話 かっこいい富山くん

私は、それからほぼ毎日「おはよう」と声をかけていた。私にしては結構グイグイしていると思う。富山くんは気づいていないだろうけど。


七海ちゃん、いや七海に相談すると、


「うーん。富山、好きって言ってる人ちょいちょい聞くんだよねぇ」


··········ですよね。そうだよね。かっこいいもんね。私だけじゃないよね。

でも、七海はこうも言った。


「まだあんまり女子と話してないみたいだし、奈緒ならいけるんじゃない? 私は奈緒を応援してるからね!」


「ありがとうっ!」


思わず感動して言ったけれど、本当に七海を友達に選んで良かったと思った瞬間だった。

でも。あんまり女子と話してないということは、あまり女子と仲良くしたいタイプではないのかも?




話しかける以外にも、やってみたことも無くはない。

七海に協力してもらってリサーチしたし、あとは1回だけ移動教室の移動にさそってみたこともある。

まぁその時は仲良く話せたと思う。私の中の、小さな自慢だ。

でも、周りの男子たちの視線がニヤニヤしていたのが気になって、誤解(ホントのことだけど)されるのも嫌だと思ったからそれからは誘っていない。


これらのことで分かったこと。

富山くんは、運動神経も良くて、20メートルシャトルランはクラスで3番目だった。ちなみに私は真ん中よりやや下くらいだ。

それにそれに、頭も良い。一日目に話しかけた時も思ったけど、やっぱり頭が良かった。苦手科目も私からしたら普通!って感じで、でもそれを鼻にかける様子は全くなかった。

顔ももちろんかっこよくて、男子たちと笑っている時の顔が特にかっこいい。

スタイルも良くて、隣に並びたくないくらい。あ、でももちろん隣に並ぶチャンスがあったら喜んで並ぶけれど。

それに、人気者だ。男子たちの真ん中で話を仕切っている。でもいつも一緒って感じでは無くて、一人で読書しているときもある。そこは、一人でもいれるつよい人だなと思った。


だから。私なんて、無理なのかも。

七海は応援してくれたけれど·····私は、富山くんと違って特筆して凄いことがない。

それに、話しかける時もドキドキしすぎて顔が真っ赤になっているようなへなちょこだ。

やっぱり、一目惚れで好きになった人と付き合うなんて、私には、無理なのかな?

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