第2話 入学式 2
しばらくして。少しずつ人が入ってきて、でも何となく話しずらくて前や後ろの子と微笑みを交わしていた。
でも、どれだけ待っても富山春樹くんは現れなかった。
「26番と34番がいないんですね。でも、もう時間なのでとりあえず廊下に出席番号順に並んでください」
先生の声で、みんなはぞろぞろと動き出す。
「川本さんだよね、よろしくね!」
その途中で、私は声をかけられた。
あ、七海ちゃんだ。
そう思った私は笑顔で答える。
「奈緒でいいよ!七海ちゃん、よろしく!」
「うん、ありがと。緊張するね」
七海ちゃんは少し緊張しているみたいだ。
なんだかそれが可愛くて、思わず微笑んでいた。
あと、ちなみに後ろの舞ちゃんは眼鏡をかけていて頭が良さそうで、落ち着いた雰囲気だった。
声はかけられなかったけど、後ろを向いた時に微笑んでくれた。いい子そうだ。
こうして、式が始まった。
校長先生の話は短くて嬉しかったけど来賓の方や理事会の会長さんのお話が長くて、私は少し眠くなっていた。
その時。少し後ろがザワザワとしていた。
どうやら、遅刻して来た子がいるみたいだ。
·····富山くんかな?
富山くんはどんな子なんだろうと考えてみる。
優しい子がいいなぁ。でも、運動神経も良いとなお良いよね·····ってこれ私のタイプの人じゃんっ!
少し妄想が膨らんでしまったけれど、遅れてきた子は列の端に座ったようでこちらからは見えなかった。
「では、新入生退場してください」
その声で、私は固まったからだを動かして立ち上がった。伸びをしたくなるけれど、我慢我慢、と自分に言い聞かせる。
その時。振り向いたことで遅れてきた子が、目に入った。
あ。
その子はシュッとした鼻でキリッとした顔をしていた。でも何となく優しそうな雰囲気を感じる。
·····この子、きっと富山くんだ。そうに違いない!
私は直感した。
え、待って、すごくカッコイイ·····好きかもしれない!!
仲良くなりたい。話したい。話したい!!!
こうして、私は入学式で好きな人が出来てしまったのです·····
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