第漆話それぞれのあゆみ
翌日。朝食後にすぐ
「もう行くのか。もう少し、ゆっくりしてもいいんだぜぇ」
「そうだよ!おねえちゃんともっとあそびたいぞ」
「心遣いには感謝するが俺には果たさないといけない事がある」
ガロンは異世界転生した者な復讐を果たす。それが唯一の目標であり使命。
「そうか、また寄ってくれよ」
「ああ、じゃあなぁ」
「泊まらせていただき、ありがとうございます。失礼します」
ガロンと内ケ島は別れを告げて、また森の中へ。昨日の
「もう少しで亜人領が見える」
「は、はい!」
「・・・緊張しているのか」
亜人領を北に進めば大都市である人間が住む領土になる。亜人は人間に飼われている。それは
「あはは、違います。その久し振りでしたので楽しみなんですよ」
「・・・そうか。俺には興味も関係がないんだがなぁ」
道に落ちた枯れ葉や枝を踏みながら悪路を歩いていく。会話は終了したことに内ケ島は、なんとか話をしないと慌てて思考を巡らす一方、ガロンは周囲を警戒と考察していた。
(コイツは、おどおどしているが何をしているのか)
ガロンは相手の気持ちを理解するのが昔から苦手だった。
とくに会話という会話もなく歩き続き魔物の唸り声をガロンは耳に入った。
「前方に
「えっ?・・・きゃ!?」
茂みの中から現れる魔物が4匹。
牙を剥き出し行動を移す前に仕留めようと打って出た。ガロンの数秒前に内ケ島は悲鳴を上げたが、
既知なため大きくはない。
ガロンは右の
「キャッン!?」
「ガウゥ」
「遅い!」
左右からの同時攻撃に素早く背後の
流れる血、一瞬の出来事に内ケ島は息を呑む。槍は叩く物で刺すのはトドメの時だけ、向けられる矛はどこで攻撃されるか読まれやすいからだ。しかし魔物が相手なら心理戦よりも奇襲を警戒が戦いを決するほど重要。
「俺から離れるなぁ。まだ、これだけじゃないはずだ」
「っ―は、はい!」
突き刺した槍を抜き血で濡れた
「グウルゥゥゥ!」
「ガアァァァ!」
残った2匹は、同時攻撃を仕掛ける。否、背後と右から一匹ずつ現れ4匹からの同時攻撃。
「ひっ!?」
「安心しろ。おまえには傷つかせない」
柄を持ち替え
[アル・レイド]。ニ槍を投げ放ち前方の魔物2匹を仕留める。投げた同時にガロンは右にいる敵を右にある改造篭手のレバーを引きながら前に出ると篭手を向けて毒矢を放ち奇襲に出た一匹を即効性の毒で動きを止める。立て続けに最後の背後に装弾せず。格闘で――
「はあぁ!」
「あ、あぁ・・・」
獣ような戦いに内ケ島は怯えていた。助けてくれた味方に恐怖して
迷いなく命を奪いにいく事が、魂の奥に恐慌が起きる。声が上手く発せないほど。殴打で絶命させると
「これで、終わりだなぁ。無事か?」
「あっ――う、ん」
なんとか内ケ島は頷き返事をする。ガロンはそこで内ケ島が恐怖していると気づいた。手のひらを血で汚れた穂と
「
ガロンは初級水魔法で洗い流す。
本来は攻撃に使うものだがガロンはマナを魔法に変える自然現象を上手く発現できない体質である。
そのため高度な魔法を駆使できず初級レベルでもワンランクと下がった魔法しか発現しかできない。
されど、日常生活などで多用できる面があるのでガロンはそんなに苦には思っていない。
「うわぁー・・・水魔法で洗い落とせるんですね」
「特殊な体質だからなぁ。
思ったんだが魔法が好きなのか」
「はい小さい頃に憧れていました。でも魔法は使えないんですけど・・・・・」
杖をギュッ胸に抱きしめて落ち込む。そんな内ケ島にガロンは――
「ふん愚かだな、おまえは」
「・・・うん、バカですよね魔法が使えないんなんて」
「そうじゃない。そんなの治癒の魔法使いに診てもらえばいいだろ」
「へっ、病院とかで治るようなものなんですか?」
驚きと感心で問いかける。やはり行っていないのかとガロンは推論から確信へと変わる。魔法使いが使えないことを昨日の村に色々と訪ねて回った。最も原因が多いのは呪いらしい。
「魔法には詳しくないが、
「そ、そうなんですか。餅が売っている餅屋に行けばいいんですね!」
その発言に少し間が生まれ、内ケ島は「あれ?」と動揺。軽い頭痛が起きるガロン。
「ハァー、違う。
専門家に任せるのがいい意味だ」
「な、なるほど頭がいいんですねガロンさんは」
「そうだな。そういう事にしておく」
否定もバカバカしくなりガロンは頭を抑えてそう言う。内ケ島は、ことわざみたいと思っていたが、立派なことわざとは知らなかった。そのため、どうして異世界にことわざや日本の言語が通じるのか疑問を持たなかった。
亜人領と鬼人領の境目となる場所にたどり着く。これでガロンと内ケ島は一時的なパーティーを解散となる。
「もう一人で大丈夫なはずだ。
一応、説明するがここを降ってあそこの
「そ、それぐらい分かるんだから!・・・お別れですね」
「そうだな」
無知に等しい内ケ島には、心配になるが身内でもそこまでやる必要も理由も無い。内ケ島椛葉は長い髪を風で舞い踊り寂しげな笑みで言う。そして内ケ島は顔を引き締め頬が赤く染まって勇気を振り絞り言葉を出す。
「ガロンさん!その、よかったらこのまま一緒に旅しませんか?」
「残念だが俺には果たさないといけないことがある。だから行けない。それにおまえは戦いには向いていない」
それがガロンの答え。魔法を使えるようになっても戦力にはならないだろう。それ以前に戦いをするべき覚悟があまりにも無い。
「・・・そうですね。
ガロンさんお元気で」
内ケ島椛葉は涙を堪えて優しく笑う。
「その前にこれを持っていけ」
ガロンは黒の軽装から取り出すのはチリンと鳴る袋。それは
「そ、そんな大金を頂けません!」
「いいから持っていけ」
「で、でも・・・そこまで施しを受け取れませんよ」
受け取ろうとしない内ケ島にガロンはため息をこぼす。
「ハァー、そこまで言うなら次に会うときがあれば理由も聞かずに力を貸せ。それが目的だ」
「・・・無理矢理すぎませんか」
自覚はあるガロンは弁舌を振るうのは苦手。薄々と内ケ島もそれには分かっていた。受け取れとかなり加減した圧力を仕掛ける。
「ガロンさんって変わってますよね、分かりました。受け取ります」
根負けした内ケ島は大金が入った袋を受け取り懐に入れる。
「無理はするなよ」
「はい。困ったことが、あったなら街に来てください。そのときはいつでも強力しますので」
「ああ、覚えておく。さようならだ」
ガロンは踵を返し手を振る。
内ケ島は大きく手を振って別れを惜しむ。ときどき振り返るガロンはまだ手を振っている内ケ島に
僅かに微笑むのだった。
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