第捌話―光があれば闇がある―
わたしはガロンさんと別れて少し後悔していた。勇気を振り絞って一緒に旅を出来れば毎日が楽しい日々があると信じて。断れてもう少しお願いすればよかった。
(戦いは向いていないか・・・だよね。わたし自身がそうだって思っている。
だからこそ、わたしが
できることをしよう)
ガロンに渡された大金で夢だったマンガ家を目指そう。紙は安くないし道具を
「それにしても、やっぱりここは元気がない」
亜人の人達が住む場所は建物が少なく大地が広がっていて道行く人は浮かない顔している人ばかり。
「・・・おにいちゃん。おなかすいたよ」
「がまんしろよ。あとでなにかたべさせてやるから」
手を繋いで歩いているのを見ました。亜人は見た目が動物が特徴で
詳しくは分かりませんが、猫人は文字通りの猫の姿をした人です。
猫耳のみから身体にモフモフもいる。貧しい兄妹は小さな猫耳のみの猫人。すごくかわいい。
「ねぇ、よかったら食べる?」
心のゆとりがあった、わたしは猫人の幼い兄妹の横で声を掛けしゃがむとウエストポーチから木箱を取り出す。
中は
「だめだ!しらないひとから、もらうなって、いつもいっているだろ」
「だ、だって・・・おにいちゃん」
無警戒の妹を手首をつかんで止める兄。きっとだまされて苦労したのが言動で見てなんとなく分かった。
「警戒しなくても大丈夫だよ。ほら」
「あっ!」
わたしは団子を口に入れて美味しそうに食べる。怪しい物が入っていない証明するために。
「ねぇ、食べても平気だよ」
兄妹のために無害だと安心させるには笑顔も忘れずに全力で作る。
ううん、作ると言うより自然と。
妹は兄とわたしを交互を見て、
兄はわたしがわるい人かじっくり考えている。
「・・・うん。ありがとうおねえちゃん。エレ!もらおうぜ」
「うん!おにいちゃん」
兄妹は団子にかぶりつく。すごくお腹が空いたんだ。
「えへへ、そんなに急いで食べると身体にわるいよ」
言った側から兄が「うぐっ!」と唸り胸を叩く。うーん、妹は平然としている。木製の水筒を兄に渡して勢いよく飲み干す。これが長期の旅だったら大変だった。
「おねえちゃんおいしかったよ。ありがとう」
「その、うたがってごめん。
おねえちゃん」
「いいよ、気にしていないから。
それよりもお腹が空くほど苦労しているの?」
妹の頭を
猫耳すごく気持ちいい!
「・・・じつは、そうなんだ。
だから、おねえちゃん・・・エレをよぉうしにしてよ」
深く頭を下げる兄にわたしは言葉を失う。まさか養子なんて頼まれるなんて思わなかったから。
「どうしてなの。妹と一緒とかじゃなくて?」
「・・・だって、おれもいるとすてられるかもしれない。だから・・・うぅっ」
この子がそんな決断するなんて、すごく親に愛されて育ったのだろう。だから妹も愛せて自分をぎせいを選択できる。
「おにいちゃん?いたいの。
なかないで、よしよし」
「エ、エレ」
妹はすすり泣く兄の頭を
ら選ぶのは一つしかない。
「二人とも、よかったら一緒にわたしと暮らさない?」
「・・・え?」
泣いていた兄は赤くなった目で顔を上げて口をボカンとさせた。
「フフ、実はね。わたしこう見えてもお金なら結構あるんだ。ほら!」
ガロンさんからいただいた袋。
チャリン、チャリンと鳴り響きかなりの量が入っている。
「わぁー、すごいおと♪」
「コ、コラ、おちつけエレ。
い、いいんですか?めいわくじゃないですか?」
子供なのにすごく気を遣っている。けどそれは自分の幸福を考えていない考えだ。わたしは少し胸を反らして偉そうにする。
「フッフフ、こんなにあるんだから二人ぐらい面倒を見ても余裕だよ」
「おねえちゃんすごい!!」
うん、エレかわいい。また頭をナデナデしてわたしも元気を貰った気分。
「えーと、ツライなら言わなくても平気だから無視してね・・・二人は
ママとパパは?」
養子という言葉が出たから、なんとなくこの解答は薄々と予測はしている。けど万が一のため訊かないと。
「・・・しんだよ」
「・・・・・そうなんだね」
「おれのなまえはライト。いもうとのなまえはエレ。
おねえちゃんのなまえは?」
「えっ・・・わたしの名前は
重たい空気を一変しようとあえて明るく振る舞うライト。
わたしがしっかりしないと。
「その養子にはしないけど、
家族だよ。これからは、わたしがお姉ちゃんだよ二人とも!」
勢いよく意気込んでみましたが。
「ハァ、ハァ・・・」
「おそいぞ、おねえちゃん」
「わーい!わいー!!」
ついて来た二人は今やわたしよりも前へ歩いて振り返って待っている。は、速いよ二人とも。
「つ、疲れたよ。足が棒に
なって痛いよ」
「ハァー、おねえちゃんのさっきのカッコいいセリフはなんだ
たんだろう?」
「うっ、ライト言葉がキツイよ」
人類の領土に足を踏みしばらく草原が広がる道を歩いていたら想像よりも遠く疲れたわけなんです。
「しかたないか。エレきゅうけいだ」
「うん、おにいちゃん」
しっかり者のライトにわたしは苦笑をこぼして自分の体力の無さには恥ずかしくなります。
ともあれ、長い道のりは終わりを迎えようとする。
「つ、ついたぁぁよぉーー!!」
わたしは世界のあらゆる中心とも呼ばれる首都[アルボルク]にようやく着いた。もう目の前だと分かると膝を崩れるように地面につく。
「もうすこしだから、おねえちゃん」
「ライトが休ませてくれない!?」
年上にも容赦がない。とやかく言っても
くぐり抜ける。
「おぉぉーー!!すごいよ
おにいちゃん」
「スゲぇー!こんなに
人がいるのかよ!」
「えーと、二人とも落ち着いて。一人で走ると迷子になるよ」
アルボルクは前はそれほど大きくなかった。異世界チートの活躍によって平和と発展に繋がっていると誰かが言っていた。そんなことよりライトとエレを迷子にならないようにしないと!
「いろんなものが
うっているんだなぁ」
「いえとかみせがいっぱいだよ!」
賑わう街にわたしとライトとエレ三人で物色して楽しんでいた。
二人の背中をついて行き肩に
衝撃が来た。
「きゃっ!そのぶつかってしまいましてすみません」
「・・・・・」
頭を下げ謝罪するがフードを目深にかぶる人は
その歩くスピードは何かに逃れるようにも
「おねえちゃんへいきか?
なんだよさっきのひとは!」
「まぁ、人混みがすごいからね。仕方ないよ・・・あれ?」
強気のライトは納得できないと怒っていた。 なんとか静めようとポーチの中を取り出そうと・・・・・
無い!探してみたけど無い!!
「おねえちゃんどうしたの?」
かわいく顔を傾けるエレ。いえ癒やされている場合じゃないよ、わたし。
「た、大金を無くしてしまいました」
そう発するとライトは顔を青ざめる。エレはにこやかな笑みでよく分かっていない様子。
これから、どうすればいいの。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます