第陸話ウール村
内ケ島椛葉は
「わぁー、にんげんだ!」
「ぼくらとかわらないスゲェー」
「かみがキレイ」
様々な角には形と色をした
次々とされる質問攻めに同じ視線にするため屈む。
「えへへ、かわいい」
純粋無垢な好奇心と愛情に内ケ島は苛酷な人生を忘れるほど癒やされていた。
「わぁー、おねぇちゃんがあたまをなでた」
「ズルいぞつぎはぼくだ!」
「ううん、わたしのばん!」
「うーん、きもちいい♪」
「ほらケンカしないでね。
ちゃんと順番を守るんだよ」
「「「はーい!」」」
そんな微笑ましい光景を離れた刀鍛冶屋の外にある
床几と言ってもバツ状の
横長の複数を腰掛けるイスだ。
「子供がこうして無邪気に
野太い声を発したのは中にいる刀職人であるヴォーン。筋骨
ガロンは
ヴォーンは時々、
「ふん、そうだなぁ。魔物や他種族が
「へっ、違いねぇ」
(それにしても、アイツはこうして無邪気に笑うんだなぁ)
年相応の笑みにガロンは、どこか安堵していた。ヴォーンが入れた熱いお茶を飲む。
(この平穏を守るために転生者を一人残らずに倒さないといけない・・・それが俺の宿命なんだ)
そう静かに誓うガロンだった。
「バイバーイ。
帰り道に気をつけてね!」
内ケ島は手を振って子供達は帰っていく。夕日に照らしていく時刻に時間を忘れるほど遊んだの久しぶりだなぁと思っていた内ケ島。ヴォーンの1人、息子である赤い髪の少年おそらく10才!と推定した内ケ島は手を
(あれ?ガロンさんがいない!?)
内ケ島椛葉はガロンがいないことに心細くなっていた。
(ううん。もう一人でやって行くんだから頼るなんておかしいよね)
孤独を知りすぎた自分は誰かの温もりや優しくされると頼ってしまってダメになると思っていた。
「とうちゃん!」
「おぅ、帰ってきたか!」
ヴォーンは、駆け寄る息子の頭をなでる。こうしていると赤い髪や体育会系が似ていると思った。
内ケ島はガロンはいないかなぁーと中を見回す。
「ガロンなら、村一番の戦士と模擬練習しているぜぇ」
ヴォーンは内ケ島の分かりやすい行動に熱い笑みを浮かべて言った。
「そ、そうなのですか。
あの、ありがとうございます!」
「気にするなぁお嬢さん。
そろそろ帰ってくるから、また息子と中で遊んでくれ」
深く頭を下げてお礼をした内ケ島は言葉に従い赤い髪の少年ヴァレストと一緒に2階に上がり古風な居間に入る。
「おねえちゃん、あの角なしこわいおにいちゃんのこいひどか?」
「こ、こ、恋人!?違うよ・・・
あの人は、
わたしの命の恩人で仲間だよ!」
「へぇー、そうなのか」
まさか子供にそんな事を訊かれるなんて予想もしなかったよ。っと少し慌ててしまった魔法使いの少女。
「あれ、角なしってやっぱり嫌われたりとかしているの?」
内ケ島椛葉の培った知識では角なしだと
「あはは、なにをいっているんだよ。
おねぇちゃん!角がないからって
さべつなんかしないよ」
「へぇー・・・本当に優しいだね鬼は」
ここにガロンがいれば、俺のような凶悪な奴がいるがなぁ!と
言っていたことだろう。もちろん通り魔のような事をする鬼だっている。優しい鬼人としか合っていない内ケ島はもうそういう認識であった。
「へっへへ、そうだろ。鬼はやさしいんだぞ!」
「フフ、そうだね」
褒められた事に少年は有頂天になっていた。内ケ島はそんな少年に慈愛に満ちた微笑を浮かべる。
その後は睨めっこや
「おまえら、夕食が出来たぞーー」
(あっ、ガロンさんの声だ!?)
指相撲で
「はーい、今すぐに行きます」
返事をした内ケ島は少年ヴァレストと一緒に降りていく。
刀鍛冶の場所へ降りると入口から向かい奥に立っていたガロン。
(あれ、もしかしてガロンさんが作ったのかな?)
よく食事を作るガロンに、ついそう考えていた内ケ島。ガロンは組んでいた腕を解き奥の
和風な家から一変、洋式の居間があった。ちょっとした瞬間移動を感覚に酔ってしまいそうになる
内ケ島。ダイニングテーブルの上にはカレーがあった。
「カ、カレーだぁ!?
まさか、カレーを食べれるなんて」
「そうだが
ガロンの疑問に内ケ島は叫んだ事に頭後ろにさするようにして羞恥と困り混じった苦笑する。
「えへへ、そうなんですけど
なかなか食べれなかった環境でしたので」
「・・・そうか、おかわりはいくらでもあるから
「ふぇ、あっ、うん・・・・・」
ガロンの配慮に戸惑いながら頷く内ケ島。そしてガロンは内ケ島に
極貧困街の出身と解釈して
「おねえちゃん!はやくたべないとさめちゃうよ」
カレーを食べていて、内ケ島を早く隣にと促す。
「あー、うん。そうだね。
やっぱり作ったのってガロンさんなんてすか?」
「不満なのは分かるが――」
「ううん、そんなことないよ。
作ってくれてありがとう」
「――っ!ふん、早く座って食べるんだなぁ」
「はい!」
内ケ島椛葉は魔法を使えないと伝えた後にも接し方が変わらないガロンに優しい人――もとい鬼!と
認識となると満面な笑みで食卓を囲み談笑をした。
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