第伍話―復讐の連鎖―
ガロンと内ケ島は 亜人領を目指し歩き続ける。
「ガロンさん。いい天気ですね」
「そうだな」
素っ気なく答える内ケ島の前に歩く鬼は奇襲など周囲を警戒して歩いていた。
「あっ、あの鳥さん飛びましたよ。うわぁー、空中で1回転しています」
「そうだな」
「あっ、リスがデートしています!かわいい」
「そうだな」
「・・・・・あっ!ガロンさんは人の話を聞いてませんよね」
「そうだな」
「やっぱりですか。わたしの話つまんないって自覚はしてますけど・・・もう少し聞いてほしいです」
「そうだな」
「・・・はぁー、もういいですよ」
「そうだな」
神経を研ぎ澄まし他の事に集中を回らずにいたガロンは内ケ島の世間話を雑に返事をした。
しばらく沈黙が続いて歩き続く。
「左の方向にスライムがいる。
右に迂回するぞ」
「は、はい」
内ケ島は声を聞こえずに驚きと本当かなと半信半疑。
素直に従って数時間、体感時計で昼飯と判断したガロンは背中にある弓と矢を取り出し。矢を
(なにをしているのだろうガロンさん)
不思議そうにする内ケ島。
鳥が枝の上に止まるとガロンは矢を射る。
「まずは
地上に落ち狙われていると分かった鳥は飛んで逃げようとする。
「・・・」
次の獲物をガロンは黙々と矢を放って落していく。
「え、えぇ!?」
内ケ島は状態が読めず混乱していく。5匹ほど地上に落としたガロンは広い集めて、残った
「
そして、地面に置かれている鳥を見て
「ガロンさん、もしかしなくても食べるんですか?」
「そうだ。もしかして
「い、いえ十分ほどです。
そ、そうじゃなくて・・・その鳥さんを食べるのはちょっと」
内ケ島椛葉は鶏肉を食べるが、その場で狩ってその場で食べるという経験はなかった。
「抵抗があるのか。昨日は魚を食べていただろう」
「あれは、なんと言いますか食事するのに慣れていて・・・鳥さん達も食べないと無駄死にだって
分かっているんですけど、た食べてみます」
しかし、焼いた鳥を持ち食べようとするが――――
「や、やっぱり無理です!」
内ケ島椛葉は食べれなかった。
涙ぐんで、なけなしの勇気では行動が出来なかったのだ。
食べないと奪った命が無駄になると理解していても・・・それ以上が進めない。
「そうか、なら無理なら食べるな」
「・・・・・はい」
意気消沈となる内ケ島は力なく返事する。3隻ほどまとめて紙に包み移動を再開する。小鳥の囀りがなく足音と風で枝が揺れる管楽器のような音だけ。当然、小鳥の鳴き声はない。
「少し村に寄るぞ」
「は、はい」
今の内ケ島は
「そうでした。ここ鬼人の領地ですから村人は鬼人なんですね」
小さな村。鬼は様々な色と形をした角が生えたりしていて、それ以外は人間と変わりはなかった。
「当たり前だ。ともかく恐がることはない。基本的に鬼人は差別をしないから、おまえを見ても
違う種族程度に扱うだけだ」
「それって大丈夫ですか?」
まだ不安を拭いきれずに内ケ島はきょろきょろと周りを見渡す。
関所はなく、人柄が良さそうな鬼人がほとんど。イメージしていた戦闘狂や乱暴なイメージとは程遠いと思った。
「とりあえず、俺はお腹を空いている。ご飯にするぞ」
「あっ、はい・・・・・え?」
(それって、昼を食べていない
わたしのために)
前をゆくガロンを内ケ島は自分のために村に寄ったのだと、さっきの言葉で気づいた。それを言葉にすると嫌われそうなので気をつけて後をついていく。
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