第4章 第17話 神、降臨
城に連れて来られ、案内された場所はやたらと長い部屋だった。
そこに何人が使えるのかと言うくらい長い長いテーブルがあり、目で追っていくと先には誰かが食事を取っていた。
「おや? 君は誰だね。私は番長君を呼んだはずだが」
ドミストリィが優雅に食事をしている。
番長を呼んだつもりらしいから、1度番長に交代し、直ぐに俺に戻った。
「そういう事だったのか。では同一人物なのだね? よろしい、君も昼食を取るといい」
「俺はもう食べてきた」
「そうか。おい」
手を叩いて執事を呼ぶ。
「彼にデザートとお茶をお出しして」
「かしこりました」
そう言って執事は俺を椅子に座らせ、別の執事がワゴンに紅茶とお茶菓子を乗せて現れる。
沢山のお茶菓子が並べられ、手際よく紅茶を注ぐ。
「さあ食べ給え。ウチのシェフ自慢のスウィーツだ」
確かに美味しそうだけど、正直それどころじゃない。
「俺を呼んだ理由はなんだ?」
単刀直入に聞いた。
言われなくても分かるけど、一応確認をね。
「君を呼んだ理由は簡単だ。ブラスティーに勝ったのだろう? その腕前を、私も堪能したいと思ったのだよ」
「それだけか?」
「それだけだとも。私は嘘はつかないさ」
それだけでいいなら、さっさと試合をして帰りたいけど……本当にそれだけ?
「どうしたのだね、随分と悩んでいるようだね。ああそうか、君たちは命のやり取りに抵抗があるのだったな。それは仕方のない事だ。私は命のやり取りは心躍るがね」
「試合じゃないのか?」
「試合? ああそうだな試合だ。もちろん命がけの死合だがね」
結局殺し合うのかよ……覚悟はしてたけど、改めて言われると怖くなってくる。
「食べないのだったら早速始めるとしようか」
場所を移動し、城の中庭というには広すぎる場所に来る。
東京ドーム1個分は余裕でありそうだ。
「さあ始めようか! ほらほら、早く攻撃を仕掛けてきたまえ!」
鎧を装着しているが剣は抜かず、両手で俺を手招きしている。
なんだコイツは。強いのは分かってるけど、ここまで舐められると腹が立ってくる。
そうだな、来いと言ったのはお前だ、後悔しても知らないぞ!!
後悔……それは俺に向けた言葉だったっけな。
ドミストリィの鎧はボロボロで、剣も既に形を留めていない。
そう、俺はドミストリィの体をくまなく切り刻み、その証拠として鎧は輪切りになり、剣も刃こぼれだらけでノコギリみたいだ。
俺は……間違いなく胴体を真っ二つにしたり、首を
なのに切ったそばから再生し、斬った鎧だけが俺の斧の軌跡を幻ではなかった証拠だ。
もちろん切り口を燃やしたりもした。
しかし燃えない……炎に耐性があるのか、燃えるより再生が早いのか……分からない。
全力で斧を振るい、本当なら今頃はサイコロステーキが散らばっているはず……だった。
どうなってる! フェニックスとは違って、何かで回復してる感じもないし、アンデッドと戦ってる物とも違う。
単純に無かった事になっている。
「おかしいな。ブラスティーに勝ったのだろう? ブラスティーがこんなに弱いはずは無いのだがね」
「うる……さい。ブラスティーは俺より弱い……んだよ」
こっちが息切れを起こしている。
意味が……意味が分からない。
どうなってんだ? 斬っても斬っても血が出ないし直ぐに元通り。
ゲームやマンガだとこのパターンがあったな。たしか……そう、本体は別の所にあって、目の前にあるのは魂の無いダタの器ってやつ。
でも何だろう。
コレは本物だと思う。勘でしかないけど、本体が別の場所ってヤツじゃないと思う。
じゃあなんでだ?
「ん~? 色々と考えているようだね。ブラスティーからは何も聞いていないのか。仕方が無いから教えてあげよう。私がやっていたゲームの名前はゴッド・イン・ヘル。ゴッヘルと呼ばれていた物だ」
知らない。聞いた事が無い名前だ。ゴッド・イン・ヘル? 地獄にいる神様? とかいう感じかな。
だとしたら……プレイヤーは神様って事??
「名前から想像できるだろう? 私は『神』なのだよ」
は? おいおい待て、プレイヤーが神のゲームシステムを、そのまま持って来たって事か?
じゃあ神様だから人である俺では殺せないって事か?
詰んでるじゃん!!
「はっはっは、良いねぇその顔。私が神だと知ったら、みんな同じ顔をするのだよ。絶望した顔をね」
「はん、神様がなんぼのもんじゃい! 俺なんてユグドラ様だぞ!」
「はっはっは、そうやって強がるものも居た。しかし次の瞬間には」
俺の視界が180度回転した。
ん?? 地面が上にある……!!
まるで杭を打つように、俺の頭から地面に打ち付けられ、完全に埋まってしまう。
ど……どういう技……?
「こうやって何も言えなくなるのだよ」
ふ……ふざ……けんな。
何だよ今の。まるで超能力みたいじゃないか。神様だからか? スキルか? さっぱり分からない。
「私を倒すには、同じ神か敵である悪魔を連れてくるしか無いのだよ」
神とか悪魔とか……そんな簡単にいるはずが……いた。
体をねじって暴れまくり、何とか地面から出て来れた。
「
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